ね、ねむい……。起きられない……起きたくない……でも起きなきゃ。でも起きられない……。朝、布団のなかでグズグズしている人、多いのでは?毎朝のことなのに困ったものです。友野さん、どうしたらスッキリ起きられるのでしょうか? 

耳でジャンケン。手と足の指でグーパー

睡眠に関するあらゆる悩みの中で、朝スッキリ起きられないという悩みが一番多いです。つらいんですよね、朝。私も以前はなかなかスッキリ起きられませんでした。

人が目覚めるのにもっとも大切なもの、それは朝の光です。寝室のカーテンは遮光カーテンより、光を通すカーテンのほうがいいですよ。遮光カーテンをお使いなら、カーテンを10センチぐらい開けて寝ましょう。朝日が直接、部屋に入らなくてもいいのです。部屋に光が入り、網膜が光を感じることで、徐々に脳が目覚め、体が起きるモードになっていきます。起きたら真っ先にカーテンを開けて朝日を浴びましょう。

お目覚めモードになるために重要な生理現象が、体温の上昇。体温が上がっていくことで、体も起き上がっていきます。そこで、目覚めが悪い朝に実践していただきたいのが「耳もみジャンケン」です。

耳には数え切れないほどのツボが集中していて、まんべんなくもむことで体全体に刺激を伝えることができます。また、頭にも近い部位なので脳が覚醒しやすく、さらには顔のむくみを解消するというメリットもあります。

 <耳もみジャンケン>

「グー」は耳を丸めます。

「チョキ」は指をチョキにして、耳の根元を挟み、上下に動かします。

「パー」は耳のまわりをつまんで外側に引っ張ります。

実践の回数にルールはなく、自分が気持ち良い、目覚めてきたと思えるまで行なってくださいね。

それでもまだ起きられない人は、足の指、手の指も動かしましょう。指をグーッと丸め、パーッと開く、グーパー運動をしてください。徐々に血流がよくなって体温が上がってくるはずです。そして最後にグーッと全身を伸ばして起きましょう。これが理想的な起き上がり方です。

ちなみに体によくない起き方は、目覚ましがジリジリッと鳴ってあわててガバッと飛び起きることです。飛び起きるような急激な動きは、体にも心にも負担がかかります。

早朝覚醒が続くようなら、自分の心の声に耳を傾けましょう

睡眠障害のひとつに、起床予定時間よりずっと前に目が覚め、それから眠れずに朝になってしまう、というものがあります。たとえば、6時まで寝たいのに4時に目覚めてしまい、それきり眠れない。これが頻繁に起こる場合は、「早朝覚醒」という睡眠障害の可能性も考えられます。うつ病の前駆症状のひとつともみられる症状です。眠れないことで精神状態が落ち込む、精神状態が落ち込みストレスがたまることでますます眠れないという悪循環を引き起こしてしまうのです。

早朝覚醒が週に3回以上あり、それが2週間以上続くうえに、日中の眠けが強い、生活や仕事に支障が出るという場合は、注意が必要です。Suits世代の場合、ストレスを抱えている、仕事が重なりすぎているなどの原因が考えられます。一度、ゆっくり自分の心と向き合う時間を取る必要があるでしょう。

逆に、早朝覚醒することはあっても、日中の生活に支障がない、メンタルも特に落ち込んでいないという場合は、あまり深刻にとらえる必要はないでしょう。そういうことは誰でも、ときどきはあることだからです。ちょっとしたホルモンバランスの影響かもしれませんし、生理中のためかもしれません。眠りには考えすぎないことも大切です。

起きる時は全身をグーッと伸ばして。ガバッと飛び起きるのは心臓にもよくないですよ。



■賢人のまとめ
寝室のカーテンは遮光性より光を通す生地がおすすめです。朝の光が脳を覚醒させ、スムーズな目覚めが訪れるからです。布団のなかでグズグズしてしまう人は「耳もみジャンケン」で体温を上げてから起きましょう。

■プロフィール

睡眠の賢人 友野なお

睡眠を改善したことにより体質改善に成功した経験から、睡眠を専門的に研究。
科学でわかるねむりの環境・空間ラボ主宰。著書に『やすみかたの教科書』(主婦の友社)など。