マツダのリコールから考えるディーゼル車の走らせ方

写真拡大 (全8枚)

チョイ乗りの繰り返しは不調の原因になる可能性も

スカイアクティブDの2200ccエンジンが5件の不具合によるリコールを出した。基本的に制御内容によるもので、いずれも最後は回転の不調によりエンストするという。ちなみに1500cc仕様も別件でリコール出しており、クリーンディーゼルエンジンの難しさを感じさせる。


もちろんリコール対応すれば問題ないため、あまり気にすることはないと思う。もしかすると経年変化により今後もリコール出すかもしれない。いずれにしろエンジンに不調を感じたらディーラーに持って行くこと。こういったトラブルは同じ時期に出てくる。ディーラーでも情報を持っていることだろう。


一方、ディーゼルエンジンはガソリンエンジンの「使い方」と根本的に違うことも認識しておいたほうが良い。御存知の通りディーゼルエンジンはいくつかの使用条件で燃え残りの「スス」が発生する。マツダの場合、ススを出しにくいよう制御しているものの、やはりゼロにならない。


ススは『DPF』(ディーゼルパティキュレートフィルター)という装置で全量キャッチして、排気管から出なくしている。つまりDPFには少しづつススが貯まっていく。ススの内容は基本的にカーボン(石炭のようなもの)なので、ある程度貯まったところで熱を掛けてやることで燃焼させる。


通常、この繰り返しをすることで排気ガスをクリーンな状態に保つ。ところがチョイ乗りばかりを繰り返すと、DPFを燃焼させている時間が確保出来ない。DPFは十分な暖気が終わった状態でしか稼働しないのだ。マツダに聞くと「最低でも30分くらい走って欲しいです」。

ディーゼル車は長距離を走る人にメリットがあるクルマ

当たり前ながらディーゼルのメリットは「車両価格が高いけれど燃費良い」。というもの。チョイ乗りばかり繰り返すような乗り方をしたら、高価なディーゼルを買う意味がない。長い距離を走る人のためのパワーユニットなのである。チョイ乗りしかしないと解っているならディーゼルをすすめない。

ということでディーゼルに乗っている人はチョイ乗りを繰り返したら最低30分くらい走ることを心がけて欲しい。また、暖気終わるまでススの成分に湿度が多く、吸気系に付着してしまう(排気ガスの一部をそのまま吸気系に戻すEGRを行っているため、吸気系に貯まりやすい)。

排気温度上がると排気ガス中のススが乾いてくるため、付着した「湿度のあるスス」も乾いて落としてくれる。出来ればススを落とすため、景気よく加速することもすすめておく。ようするに楽しんで乗りましょう、ということだ。ディーゼルエンジンは負荷を掛けた方が調子良い。

マツダのディーラーによれば「エンジンの調子が悪いということで持ち込まれるディーゼルもあります。そんな時は30分くらい元気よく走っただけで気持ちよく回るようになります」。せっかくパワフルで気持ちよく回るエンジンなのだから、オーナーになったら一週間に一度くらい走りを楽しんだらいいと思う。