「生活必需品のすべてが揃うのでは?」と思うほどの商品ラインナップとお手頃価格で消費者から圧倒的支持を得ている100円均一ショップ。しかし、意外な落とし穴もあるようです。無料メルマガ『アリエナイ科学メルマ』の著者で科学者のくられさんが、百均ショップの「アルカリ電池」の危険性について解説してくださっています。

ここで会ったが100円均一 百均電池のハナシ

100円均一の電池。国産のメーカーものであれば、単三4本で300円〜400円。しかし100円均一に行くと、4本100円、さらに6本100円のものまで売られている。

100円アルカリ電池は性能的には、国産の物と遜色なく、電圧も安定しており、使用可能時間が短いわけでもない。となると、電池は100円均一でOKって感じになりそうですが、さにあらず。

100円均一のアルカリ電池の液漏れ破損率はほぼ100%。これは使用中だろうが、使わずに保管しておいても同じ。しかも1本が液漏れを開始すると、腐食性の高い塩基性の液体が漏れ出すので横の電池を即座に腐らせ、液漏れ…それが連鎖してあっという間に1パック駄目になります。我が家でも災害備蓄用に…と100円電池を保存していたら一夏を越えた時点で全部まとめて腐っていました。

要するに買ってから1年くらいで液漏れをする…くらいの電池だと考えておくべきです。

特に単3、単4の液漏れ死亡率は極めて高く、液漏れが始まると、電池の外装の金属が錆びたり、内部のコアが膨張したりするので、内径がギリギリのLEDライトなどに入れると取り出し不可能な物件になってしまうことがあります。

また長時間駆動が前提の壁掛け時計なども1年以上電池がもつので、液漏れしてくる可能性大です。テレビのリモコン類は特に液漏れしたあと、基板が近いので、さびが基板にまで廻ってリモコンごと死んでしまうことがあるのでリモコン類に100円電池はリスクがあります。

時計は漏れても錆びた端子をやすりでこすって汚れを落とせば問題ないことが多いので、好みによりますが、お気に入りの高い壁掛け時計などには使わないほうがいいでしょう。

リモコンや時計はアルカリ電池ではなく、液漏れリスクの少ないマンガン電池(こちらは100円のでもいい)を使えば破損リスクはかなり抑えられます。長持ちしないし電圧も低いマンガン電池は何故売られているのだろうと思っている人も多いかと思いますが、そういう用途に使うのです(笑)。

また漏れ出た塩基性の液体は水酸化カリウムなどの強塩基で、目に入るととても危険なので、手に付いた場合はぬめりが消えるまで流水でよくあらい、目に入らないように気をつけましょう。

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『アリエナイ科学メルマ』

著者/くられ

シリーズ15万部以上の不謹慎理系書「アリエナイ理科ノ教科書」著者。別名義で「本当にコワい? 食べものの正体」「薬局で買うべき薬、買ってはいけない薬 」などを上梓。学術誌から成人誌面という極めて広い媒体で連載多数。

出典元:まぐまぐニュース!