「手帳のお悩み解決」おトク百科12

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1年を通していつも持ち歩く手帳は、時に思いがけないトラブルに見舞われることがある。手帳の悩みを解決するお得な情報をリストアップした。

■2大メーカーがお答えします!

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▼日本能率協会マネジメントセンター
ビジネスパーソン向け手帳のパイオニア。1949年に「能率手帳」を発行し、日本で初めて時間目盛りを入れた。現在は「NOLTY」と名称を変え、新時代のニーズに応えるラインナップを揃えている。女性向け「PAGEM」シリーズも人気だ。
▼高橋書店
「手帳は高橋」のキャッチフレーズで知られる手帳のリーディングカンパニー。1952年に日記の販売スタート。96年より「手帳大賞」を主宰。「身近な人の名言・格言」に加え、手帳・日記・家計簿の商品企画を一般から募集している。

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【1】手帳を落とした!まさかの紛失時に取るべき対応とは。
紛失時の対応は、落としてからでは時すでに遅し。事前の対策が肝心だ。日本能率協会、高橋書店ともに、巻末や巻頭のページにある、本人プロフィール欄への記入を勧めている。該当ページがない手帳の場合は、同様の情報を裏表紙の内側などに記しておくとよいだろう。一般に、名前、住所、電話番号、メールアドレス、勤務先などの項目がある。

高橋書店ではこれらに加えて「これは私にとって非常に大切な手帳です。拾われた方は誠にお手数ですが、お知らせくださいますようお願いいたします」とメッセージを添えている。「自宅の住所等を記入するのに抵抗がある場合は、名前と勤務先だけの記入でも」(高橋書店)とのアドバイスも。さらに、「手元に戻りやすくするために、謝礼を明記したり、送付費用を手帳に挟んでおくなどの方法もありますが、現金をセットする場合などは慎重に判断する必要があります」(日本能率協会)

【2】予定を書き忘れて、大切なアポすっぽかし!メモ漏れの予防策はあるか。
日本能率協会によれば、一番の書き忘れ防止策は至極シンプル。新しい予定が入ったら、その場ですぐに記入する習慣をつけることに尽きるそうだ。また、未確定の予定は特に記入漏れにつながりやすいので、あらかじめルールを決めておくとよい。

「例えば、仮の予定はシャープペンで記入し、確定したらペンで書き込む。あるいは、付箋に記入して貼り付けておき、確定したら手帳に直接書き込む。いずれにしても、確定した予定はもちろんのこと、仮の予定もとにかくまず書き込むことが必要です。『後で記入しよう……』『決定したら記入しよう……』というのが一番記入漏れにつながりやすいです」(日本能率協会)

【3】IDやパスワードを手帳で管理。安全に記録する方法はあるか。
増え続けるIDやパスワード。覚えきれなくて、手帳にメモをしているという人も多いと思うが、安全のための対策は取っているだろうか。

「機密情報を記入しておくと便利ですが、紛失時のリスクもしっかり想定しておく必要があります。記入の際には、何のIDかわからないよう暗号化したり、一部の文字列をXXといったダミー表記にするなど、自分だけにしかわからないルールをつくって情報漏えいのリスクヘッジを行うとよいです」(日本能率協会)

【4】うっかり水没させてシワシワに。元通りに戻すことはできるか。
手帳全体がびしょ濡れ状態になってしまった場合は、残念ながら完全復活は難しい。ネットには保存袋に入れて冷凍庫に入れるとよいなどという情報が見られるが、効果には疑問が残る。ただし、一部が濡れた場合などは、国会図書館のホームページに「水に濡れた資料を乾燥させる」という方法が出ているので試してみるといいだろう。

まず、タオルで押さえるようにして水分を取る。次に、ページのところどころに吸水紙を挟み込み、濡れた部分が上になるように手帳を立てる。次に扇風機で手帳が倒れない程度の風を送って乾かす。これを吸水紙を取り換えながら何度か繰り返す。さらに、板に挟んで乾くまで置いておく。板の上から重しをするとページの波打ちや変形が防げる。乾燥中は、1日1回程度取り出し、ページが張り付いてないか確認する。

【5】使用不可能なほどの破損。もう買い替えるしかないのか……。
破れたり、水に濡らしたり、汚してしまったり。ある程度の損傷ならばここで紹介している方法などでリカバリーも可能だが、もし使用に耐えないほどの状態になったら、諦めて新しい手帳を買うしかないのか。だが、再購入に踏み切るその前に、手持ちの手帳のメーカーに問い合わせをしてみよう。なんと手帳メーカーによっては、破損や汚れの際に、無料で取り換えてくれる場合がある。ディスカヴァーの一部の手帳など、購入時に「無料交換券」が付いてくる場合もあるので見落として捨ててしまわないように。

【6】コーヒーをこぼして、ページに染みが。きれいに染み抜きする方法はあるか。
編集部で検証したところ、応急処置がなによりも大切だった。まずはティッシュなどで素早く拭き、必要があれば濡れたふきんで叩くようにして染みを取る。さらに乾いたティッシュでぎゅっと押さえるようにして水分を吸い取る。完全には落ちなくても染みを薄めることができる。

また、そのまま乾いてしまい、濃い染みが残ってしまった場合には、台所用の漂白剤を含ませた布などで叩くようにして染みを落とし、さらに濡れふきんなどで漂白剤を拭き取るとよい。シワが気になる場合にはさらにアイロンをかける。ただし、効果は紙質にもよるのでご注意を。

【7】カバーが薄汚れてくるのがイヤ。どうすればずっときれいに使えるか。
カバーは素材によって手入れの方法が異なる。布製のカバーの場合には、使用前に防水スプレーをすると汚れにくくなり、雨などの軽い水濡れ対策にもなる。また、革製の場合には、革靴用の栄養クリームなどで使用前に一度手入れをすると、きれいな風合いに育てることができる。浅めの傷などができてしまった際にも、栄養クリームを塗ると、ある程度、傷跡が目立たなくなる。

なお、ほぼ日手帳のホームページには「ほぼ日手帳のカバーを長くお使いいただくために。」という記事が掲載されている。ほぼ日手帳愛好者はもちろん、その他の手帳ユーザーにもお役立ちの情報となっているので参考にするといいだろう。

【8】デジタル・カレンダーよりも優秀? 紙の手帳が使い勝手がよい理由とは。
日本能率協会、高橋書店ともに、紙の手帳の特徴として「予定を俯瞰できる」「メモが素早く取れる」「バッテリー切れの心配がない」の3点を挙げている。

その他、「自由度が高いのでいろいろなアレンジ・使い方ができる。絵や図を描く、付箋やシールを貼る、好みの筆記具で色分けする、線を引いてレイアウトを改造するなどなど。ほかにも、周辺ツールをセットすれば、より自分好みにカスタマイズできます」(日本能率協会)。

さらに興味深い利点としては、「デジタル機器へ入力してもすぐ忘れてしまいがちですが、手書きだと書いた後でも不思議と覚えている。手書きの筆跡を後から見ると、そのときの感情や状況が自然に思い出されるなどの意見もユーザーからは寄せられています」(高橋書店)。

【9】手帳の機能や売れ筋アイテム、30年前とどこが違う?
ライフスタイルの変化やデジタル機器の普及により、手帳の機能もマイナーチェンジを遂げている。

「現在は月曜始まりが主流になっていますが、当時は日曜始まりの手帳が主流。まだ週休2日制が定着していなかったので、土曜日と日曜日の予定をまとめて管理する必要がなかったからです。また、30年前はアドレス帳が必須でした。当時は住所や電話番号を、自宅の住所録や手帳のアドレス帳で管理するのが主流でしたが、現在はその役割がPCやスマートフォンに移行しているようです」(日本能率協会)

「『見開き1カ月の予定表+メモページタイプ』の手帳がよく売れています。長期の予定の一覧性とメモ機能に優れた内容で、スマートフォンと併用しているユーザーも多いと思われます」(高橋書店)

【10】手帳のサイズ、30年前と違う?
サイズは大型化が主流になりつつある。「以前は、男性はスーツやワイシャツの胸ポケット、女性はハンドバッグなどに入る小型判がほとんどでしたが、現在ではA6、B6判とより大きなサイズが人気です。特に若い世代ほど大きいサイズを好む傾向があります。男性でも日常的に鞄を持ち歩くようになっていること、手帳に書く内容がスケジュールだけでなく多岐にわたっているためと推測されます」(高橋書店)。

【11】手帳のカバー、30年前とどこが違う?
手帳のデザインは、スタイリッシュな女性ものの台頭を筆頭に、個性化、多様化が進んだ。「以前は、ビジネスマン向けが主流で、女性向けのカジュアルなタイプはほとんど扱っていませんでした。男女雇用機会均等法が施行され、1990年代に入ると一気に女性向けの手帳が増えました」(日本能率協会)。

「昔の手帳といえば、黒や茶、女性用であれば赤などがほとんど。しかし、現在ではより明るい紺や青、オレンジやワイン色、さらにはチェックや花柄のカジュアルなものなど、カバーのバリエーションが豊富になっています」(高橋書店)

【12】“ユニーク手帳”の注目株はなにか。
ゴルフ、ワイン、ダイエット、投資など、ここ数年、趣味や目的に特化したユニーク手帳が人気を呼んでいる。「今年、特に注目されているのは、自分の予定だけでなく家族の予定も同時に書ける、お母さんのための『ファミリー手帳』です。夫の予定(出張や夕食の要不要など)、子どもの予定(学校行事や用意するもの、検診の予定など)を自分の予定と並列して書けるので、家族全員の予定が一目瞭然です。巻末には贈答の控えや記念日リスト、非常時への備えなど便利な付録もたくさん付いています」(高橋書店)。

(渡辺菜々緒=文・構成)