北村 諒「僕は主人公キャラってタイプじゃないけど(笑)」――舞台『青の祓魔師』が新たに舞台化!
原作コミックはシリーズ累計1500万部を突破した『青の祓魔師(エクソシスト)』。サタンの息子でありながらも悪魔を祓う祓魔師の道を志す少年・燐と、その双子の弟で祓魔師である雪男を中心に描くファンタジー作品だ。今回の舞台化では、TVアニメではまだ描かれていない原作コミックス5巻から9巻にあたる人気エピソードで、京都を舞台に「不浄王」をめぐる戦いを描く。奥村 燐役の北村 諒に、本作への意気込みを聞いた。
撮影/後藤倫人 取材・文/野口理香子
スタイリング/手塚陽介 ヘアメイク/小林純子
――舞台『青の祓魔師』京都紅蓮篇に出演が決まったときのお気持ちから聞かせてください。
素直にうれしかったです。もともと読者として読んでいた作品だし、好きな作品だったので。燐を演じられるのは…なんでしょうね、「まさか自分が」と思いながらもうれしかったです。
――「まさか自分が」というのは?
普段の自分とは全然違うタイプのキャラクターなので…。
――確かに北村さんは、こうしてお話しているときも本当に穏やかというか…。燐は、正義感が強いがゆえに喧嘩っ早かったりしますしね。
僕は喧嘩とかしたことないですから(笑)。
――北村さんご自身の性格もそうかもしれないし、これまで演じられてきた役柄的にも…燐のような少年マンガの主人公タイプを演じるのって珍しいなぁと。
アハハハ、自分でも意外だなって思いました。王道というか、主人公キャラっていうタイプじゃないから、僕は(笑)。
――知的でクールなキャラや、斜に構えてるキャラとか。
ナルシストだったりね(笑)。自分にないものがたくさんあるキャラクターなので、そこをどう出していこうか、燐をよりよく見せるためにどうしようかなって。頑張らなきゃいけないなと思いました。
――では改めて、奥村 燐がどういうキャラクターか、北村さんの言葉で紹介してもらえますか?
燐はとても正直で素直でまっすぐで、嘘がつけない人。いい意味でも悪い意味でも。裏目に出ることもあるし。だけど、自分の信念を貫いているところがスゴいと思います。以前、声優の岡本信彦さんと対談する機会があったんですけど。
――岡本さんは、アニメ版で燐を演じている方ですね。
そのとき岡本さんと話したのが、燐はずるいよね、と。たとえば燐に「バカ」って言っても、「それがどうした」「だからなんだ」って開き直られる。それってすげぇなと。
――確かに(笑)。
実際に燐みたいな人がいたら、現代社会では生きづらいだろうなぁとは思います(笑)。でも、だからこそ、男の子的には、こうありたいと思うキャラクター像でもあるかなと。これだけ素直に言いたいことが言えて、自分の思うがままに生きられたらいいなって。カッコいいですよね。
――そうですね。ただ燐は、単純なようで複雑な感情も持ち合わせています。サタンの血が流れている自分とどう向き合うか、という葛藤と戦っていたり…
そういう意味では王道の主人公というよりは、ちょっとダークヒーローっぽい感じかもしれませんね。
――そんな燐をどのように演じようとお考えですか?
燐はすごく仲間思いで、弟の雪男のことも大事に思っています。その部分は、芝居に直結できるなと。僕にもカンパニーっていう仲間がいて、雪男を演じる(宮崎)秋人もいる。だから燐として周りのみんなを大切にしたいし、みんなのためにまず自分が動きたいと思います。
――稽古場に入ってる段階から、燐であることを意識する、と。
そうですね。それが燐というキャラクターの役作りにもなるし、作品自体がよくなることにもつながるんじゃないかなと思っています。
――燐の弟、奥村雪男を演じるのは、宮崎秋人さん。宮崎さんとはこれまでも共演する機会がありましたが、兄弟役になるとは…!
秋人が演じる雪男とだったら、すごくいいものが作れそうだなとは思いましたけど……ちょっと、こっぱずかしい(笑)。お互いのことをよく知っているからこそ、距離感の近い役を演じるのは、こっぱずかしいというか。
――出演が決まったあと、宮崎さんとお話されました?
LINEしました。こっぱずかしいわって(笑)。でも、僕と秋人だからこそ話せることもいっぱいあるだろうし。秋人は同い年ですし、役者仲間でありライバルでもあると思っているので、そこもうまいこと、燐と雪男の関係性に反映させられたらと思っています。
――宮崎さんと雪男のイメージは重なりました?
秋人は元気でまっすぐなキャラクターを演じているイメージが強いから、そっちか!とビックリしましたけど、ビジュアルを見たらドハマリしてるから……もうやめてくれよ、と(笑)。
――山本一慶さんが勝呂竜士を演じるというのも意外な配役だなと思いましたが、ビジュアルが勝呂そのままで驚きました。
このビジュアルはめっちゃ勝呂だけど、普段の一慶くんを見ていたら勝呂…?ってなりますよね(笑)。別の舞台で、このあいだまで一緒だったんですけど、普段はわりとクールな雰囲気の人なので。
――おふたりの再現度もスゴいですけど、北村さんだって…
そうですか? オレは割とオレじゃないですか? 短髪のオレっていう…(笑)。
――いえいえ、原作そっくりのクオリティの高さに驚きましたよ。
(チラシを見ながら)うん、カッコいいですよね!! 制作スタッフの気合いを感じましたし、同時に、各方面から多大なる期待を寄せられているんだなと身が引き締まりました。
――見た目の役作りという点で意識したことはありますか?
そうだなぁ………。
――雪男のメガネは宮崎さんの私物だと伺いましたが。
そうなんですよね。でも僕はそういうアイテムがないからなぁ(笑)。撮影のときは、燐の内面を重視して、はかなげな雰囲気を出せるように意識しましたね。
――そういうディレクションが?
はい。燐の過去というか、バックボーンを出してほしいと言われまして。だから自分がサタンの息子であることの葛藤や、剣が抜けなくなってしまうことへの苦しさだったりを意識しながら撮影に臨みました。
――なるほど!
でも、刀を振ってるカットは、自由に動いて、思いっきり飛びながら撮影しました。燐のアクティブな面も見せることができたかなと思います。
――『青の祓魔師』の舞台化は今回が三度目となりますが、前作から引き続き、西田大輔さんの演出ですね。
西田さんの演出であれば、間違いないなと。アクションシーンの見応えはもちろん、それぞれのキャラクターの内面も丁寧に描いてくれるだろうし。信頼しかしてないです。
――西田さんから、燐をこう演じてほしい、といったお話はあったんでしょうか?
燐と雪男のコントラストを明確に出したいということでした。
――じゃあそこは宮崎さんと相談しつつ?
そうですね。普段は役者同士で「こうやって演じよう」みたいな話はあまりしないんですけど、今回に関してはふたりで話す機会も出てくるのかなぁと思っています。
――5月上旬に行われたプレ稽古のときに、「西田さんの殺陣が個人的に好き」とお話されていましたが、それはどういう理由からなんでしょうか?
単純にすごくカッコいいから。見栄えがいいというか、魅せる殺陣なんです。それにやっていてもすごく……流れる殺陣なんですよね。身体が流れるというか。
――やっているほうとしては、気持ちがいいということ…?
気持ちいいですね、すごく。型をひとつひとつ、キレイに見せることを大切にされる人もいますし、演出家さんや殺陣師の方によって違うんですが、西田さんの場合は、殺陣というよりダンスに近い感覚です。
――プレ稽古時の映像が公開されていましたが、宮崎さんとの息もピッタリでしたね。手応えとしてはどうですか?
あのときはまだ、やっている殺陣が“自分”だったので……。燐だったら大きく振りそうだなとか、あまりキレイになりすぎずに荒々しくなるのかなとか思うので、もっと燐っぽく見せられるように突き詰めていきます。
撮影/後藤倫人 取材・文/野口理香子
スタイリング/手塚陽介 ヘアメイク/小林純子
燐のように、素直に生きることができたら
――舞台『青の祓魔師』京都紅蓮篇に出演が決まったときのお気持ちから聞かせてください。
素直にうれしかったです。もともと読者として読んでいた作品だし、好きな作品だったので。燐を演じられるのは…なんでしょうね、「まさか自分が」と思いながらもうれしかったです。
――「まさか自分が」というのは?
普段の自分とは全然違うタイプのキャラクターなので…。
――確かに北村さんは、こうしてお話しているときも本当に穏やかというか…。燐は、正義感が強いがゆえに喧嘩っ早かったりしますしね。
僕は喧嘩とかしたことないですから(笑)。
――北村さんご自身の性格もそうかもしれないし、これまで演じられてきた役柄的にも…燐のような少年マンガの主人公タイプを演じるのって珍しいなぁと。
アハハハ、自分でも意外だなって思いました。王道というか、主人公キャラっていうタイプじゃないから、僕は(笑)。
――知的でクールなキャラや、斜に構えてるキャラとか。
ナルシストだったりね(笑)。自分にないものがたくさんあるキャラクターなので、そこをどう出していこうか、燐をよりよく見せるためにどうしようかなって。頑張らなきゃいけないなと思いました。
――では改めて、奥村 燐がどういうキャラクターか、北村さんの言葉で紹介してもらえますか?
燐はとても正直で素直でまっすぐで、嘘がつけない人。いい意味でも悪い意味でも。裏目に出ることもあるし。だけど、自分の信念を貫いているところがスゴいと思います。以前、声優の岡本信彦さんと対談する機会があったんですけど。
――岡本さんは、アニメ版で燐を演じている方ですね。
そのとき岡本さんと話したのが、燐はずるいよね、と。たとえば燐に「バカ」って言っても、「それがどうした」「だからなんだ」って開き直られる。それってすげぇなと。
――確かに(笑)。
実際に燐みたいな人がいたら、現代社会では生きづらいだろうなぁとは思います(笑)。でも、だからこそ、男の子的には、こうありたいと思うキャラクター像でもあるかなと。これだけ素直に言いたいことが言えて、自分の思うがままに生きられたらいいなって。カッコいいですよね。
――そうですね。ただ燐は、単純なようで複雑な感情も持ち合わせています。サタンの血が流れている自分とどう向き合うか、という葛藤と戦っていたり…
そういう意味では王道の主人公というよりは、ちょっとダークヒーローっぽい感じかもしれませんね。
――そんな燐をどのように演じようとお考えですか?
燐はすごく仲間思いで、弟の雪男のことも大事に思っています。その部分は、芝居に直結できるなと。僕にもカンパニーっていう仲間がいて、雪男を演じる(宮崎)秋人もいる。だから燐として周りのみんなを大切にしたいし、みんなのためにまず自分が動きたいと思います。
――稽古場に入ってる段階から、燐であることを意識する、と。
そうですね。それが燐というキャラクターの役作りにもなるし、作品自体がよくなることにもつながるんじゃないかなと思っています。
再現度の高さに驚き! ビジュアル撮影秘話
――燐の弟、奥村雪男を演じるのは、宮崎秋人さん。宮崎さんとはこれまでも共演する機会がありましたが、兄弟役になるとは…!
秋人が演じる雪男とだったら、すごくいいものが作れそうだなとは思いましたけど……ちょっと、こっぱずかしい(笑)。お互いのことをよく知っているからこそ、距離感の近い役を演じるのは、こっぱずかしいというか。
――出演が決まったあと、宮崎さんとお話されました?
LINEしました。こっぱずかしいわって(笑)。でも、僕と秋人だからこそ話せることもいっぱいあるだろうし。秋人は同い年ですし、役者仲間でありライバルでもあると思っているので、そこもうまいこと、燐と雪男の関係性に反映させられたらと思っています。
――宮崎さんと雪男のイメージは重なりました?
秋人は元気でまっすぐなキャラクターを演じているイメージが強いから、そっちか!とビックリしましたけど、ビジュアルを見たらドハマリしてるから……もうやめてくれよ、と(笑)。
――山本一慶さんが勝呂竜士を演じるというのも意外な配役だなと思いましたが、ビジュアルが勝呂そのままで驚きました。
このビジュアルはめっちゃ勝呂だけど、普段の一慶くんを見ていたら勝呂…?ってなりますよね(笑)。別の舞台で、このあいだまで一緒だったんですけど、普段はわりとクールな雰囲気の人なので。
――おふたりの再現度もスゴいですけど、北村さんだって…
そうですか? オレは割とオレじゃないですか? 短髪のオレっていう…(笑)。
――いえいえ、原作そっくりのクオリティの高さに驚きましたよ。
(チラシを見ながら)うん、カッコいいですよね!! 制作スタッフの気合いを感じましたし、同時に、各方面から多大なる期待を寄せられているんだなと身が引き締まりました。
――見た目の役作りという点で意識したことはありますか?
そうだなぁ………。
――雪男のメガネは宮崎さんの私物だと伺いましたが。
そうなんですよね。でも僕はそういうアイテムがないからなぁ(笑)。撮影のときは、燐の内面を重視して、はかなげな雰囲気を出せるように意識しましたね。
――そういうディレクションが?
はい。燐の過去というか、バックボーンを出してほしいと言われまして。だから自分がサタンの息子であることの葛藤や、剣が抜けなくなってしまうことへの苦しさだったりを意識しながら撮影に臨みました。
――なるほど!
でも、刀を振ってるカットは、自由に動いて、思いっきり飛びながら撮影しました。燐のアクティブな面も見せることができたかなと思います。
殺陣というより、ダンスに近い感覚
――『青の祓魔師』の舞台化は今回が三度目となりますが、前作から引き続き、西田大輔さんの演出ですね。
西田さんの演出であれば、間違いないなと。アクションシーンの見応えはもちろん、それぞれのキャラクターの内面も丁寧に描いてくれるだろうし。信頼しかしてないです。
――西田さんから、燐をこう演じてほしい、といったお話はあったんでしょうか?
燐と雪男のコントラストを明確に出したいということでした。
――じゃあそこは宮崎さんと相談しつつ?
そうですね。普段は役者同士で「こうやって演じよう」みたいな話はあまりしないんですけど、今回に関してはふたりで話す機会も出てくるのかなぁと思っています。
――5月上旬に行われたプレ稽古のときに、「西田さんの殺陣が個人的に好き」とお話されていましたが、それはどういう理由からなんでしょうか?
単純にすごくカッコいいから。見栄えがいいというか、魅せる殺陣なんです。それにやっていてもすごく……流れる殺陣なんですよね。身体が流れるというか。
――やっているほうとしては、気持ちがいいということ…?
気持ちいいですね、すごく。型をひとつひとつ、キレイに見せることを大切にされる人もいますし、演出家さんや殺陣師の方によって違うんですが、西田さんの場合は、殺陣というよりダンスに近い感覚です。
――プレ稽古時の映像が公開されていましたが、宮崎さんとの息もピッタリでしたね。手応えとしてはどうですか?
あのときはまだ、やっている殺陣が“自分”だったので……。燐だったら大きく振りそうだなとか、あまりキレイになりすぎずに荒々しくなるのかなとか思うので、もっと燐っぽく見せられるように突き詰めていきます。