日経平均株価が2万円に到達し、15年ぶりの高値水準で推移している。経済アナリストの森永卓郎氏によると、2015年は原油価格低迷の影響もあり物価上昇率が落ち着き、その一方で現役世代の賃金もリタイア世代の年金受給額もプラスとなるので、「日本経済に久々の晴れ間が広がる」と分析している。では、来年以降の日本経済、日本株はどうなるのか。森永氏が解説する。

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 日経平均はどこまで上がるのか。PBR(株価純資産倍率)という株式指標があります。1株当たり純資産の何倍の株価がついているかという指標です。東証1部で見ると、値上がりしたとはいえ平均のPBRはまだ1.5〜1.6倍程度。先進国のPBRは平時で2倍弱ですから、まだ割安ということになります。

 ちなみに、PBRが2倍になるのは日経平均が2万5000円の時。したがって、先進国の例にならえば、今後1年のうちに日経平均が2万5000円ぐらいまで上がる可能性はあると見ています。だが、それぐらいが上昇の限度で、それを超えたらバブルだと認識すればいいでしょう。

 ただし、私が声を大にして警鐘を鳴らしたいことがあります。日本経済に晴れ間がさすのは、今後「1年間限定」だということです。

 例えば、賃金増が2016年も中小零細企業まで波及する気配はありません。年金受給額も、今年度の物価が上がらないので、マクロ経済スライド(*注)によって、来年度はプラマイゼロになりそうです。

【*注:マクロ経済スライド/年金受給額を賃金や物価上昇分より抑える仕組み】

 その一方で、物価は原油価格の反転上昇により、2016年度は再び上昇する可能性が高いと見ます。そのため、実質所得はマイナスになる。

 つまり、日本の景気は来年には弱含み、消費税が10%に引き上げられる2017年には失速する。私はそれが一番可能性の高いシナリオだと考えています。

 それでは、今夏のボーナスを何に使うか。資産運用としては、日経平均が2万5000円ぐらいまで上がる可能性があるので、日本株投資は選択肢になります。ただし、バブル化する恐れもあるので、いざという時に瞬時に逃げられる態勢を整えておくことが重要です。

 今年秋までに米国が利上げに踏み切る、あるいは日銀が第3次の金融緩和を行なう可能性がある。どちらのケースとなっても為替相場が円安に振れる要因となるので、ドル買いの外貨投資も一つの手段でしょう。もっとリスクをとれる人は、原油価格の反転上昇にかけて、原油価格の値動きに連動する投資信託などを購入して、来年以降に備える手も考えられます。

※マネーポスト2015年夏号