人生のなかで、街中ですれ違うだけの人は一体何人くらいいるのだろうか。何百万人、何千万人、いや、それ以上に数え切れないほどの人数とすれ違っているかもしれない。そうした「すれ違うだけの人」にも、その人なりの人生があり、深い物語があるのだということを感じさせてくれるのが、『街の人生』(岸政彦/著、勁草書房/刊)だ。本書は、社会学者である著者が、さまざまな人々に対してインタビューをし、ライフヒストリ