電車のシートに腰掛け、しばらくスマートフォンを操作してから視線を上げると、目の前に巨大な山がそびえていて驚く。練乳をぜいたくに垂らしたような白い嶺に惚れ惚れしながら、自分が静岡に来たことを思い出す。地元住民にとって日常的な景色かもしれないが、普段は遠くから眺めている者からすると圧倒されてしまう。こんなに間近に富士山が見られるなんて、いいですね。そんな感想を伝えると、小船翼は「はい」とうれしそう