ヤンキース・田中将大【写真:田口有史】

FA目玉投手獲得の可能性は「ほぼ存在しない」と地元メディア

 ヤンキースのランディ・レビン球団社長が、今オフの移籍市場でタイガースからフリーエージェント(FA)となっているマックス・シャーザー投手ら超大物の補強に関して否定的な見解を示した。地元紙デイリー・ニューズが「ランディ・レビンいわく、ヤンキースが高額フリーエージェントを獲得する可能性はほぼ存在しない」との見出しで報じている。

 ヤンキースは今オフ、オリオールズからFAの救援左腕アンドリュー・ミラー、ヤンキースからFAのチェイス・ヘドリー内野手、左腕クリス・カプアーノと契約。今季限りで現役引退したデレク・ジーター内野手の後釜には、将来のエース候補だったショーン・グリーン投手とのトレードで、ダイヤモンドバックスからディディ・グレゴリウス遊撃手を獲得した。

 だが、大物はいない。昨年、今年と2年連続でプレーオフ進出を逃しているが、FA市場では鳴りを潜めている。しかも、再契約を目指していたブランドン・マッカーシー投手はドジャースに移籍し、今季からクローザーを務めたデビッド・ロバートソン投手もホワイトソックスに去った。

「現時点で我々の選手総年俸はメジャーでトップだ。ドジャースが来季、我々を上回るだろうが、それ以外の球団はない。(オーナーの)スタインブレナー家の伝統はもし、チームを強化できる方策があるのなら、そうように(キャッシュマンが)強化策を実行する。我々は市場を注視しているが、球団の現実にも配慮しなければいけない。例えば、投手陣を見れば、すでにかなりの高給取りが2人いるんだ」

「球団のロースターの状況を見れば、田中がエース」と球団社長

 レビン球団社長はこう語っている。CC・サバシアの今季年俸は2400万ドル(約28億5000万円)、田中は年俸2200万ドル(約26億円)。同社長は「この2人を軸に投手陣を形成しないといけない。だから、年俸2500万ドル(約30億円)の投手をもう1人獲得する可能性は、個人的にはほとんど存在しない」とし、現時点で、右肘靭帯部分断裂から復帰した田中将大投手を来季のエースに据える方針を明かしている。

 地元メディアはヤンキースが2013年にタイガースでサイ・ヤング賞を受賞したシャーザーの争奪戦に乗り出す可能性があることを報じてきた。だが今回、レビン球団社長は、年俸総額2億ドル(約239億円)の大型契約を求めているFA市場最大の目玉投手の獲得に関して、極めて消極的なコメントを発している。

「特定の選手についての話はできないし、することも許されていないし、するつもりもない。だが、マーケットは進んでいる。現時点の球団のロースターの状況を見れば、田中がエースだ。サバシアが復活することを願っている。(今季開幕直後に右肘靭帯再建手術を受けた)ノバもすぐに復帰できる。多くの若いピッチャーも成長してきている。いい仕事をしてきているGMに託している。例年通り、我々の強化費は2億ドルを超えることになるだろう。だが、最終的には球団も現実的にならなければいけないということだ」

 レビン球団社長の発言で、シャーザーと田中のダブルエース体制が実現する可能性は極めて薄くなった。主力の高年齢化、年俸の高騰など厳しい現実に直面するピンストライプの名門において、メジャー2年目を迎える田中にかかる期待は大きい。