言いづらいことも煙に巻ける!? たばこがコミュニケーションにもたらす効果を検証してみた

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禁煙ブームと物価高で、何かと疎外視されている感の強い”たばこ”。常に注目されるのはネガティブな意見ばかりだが、ちょっと視点を変えればポジティブな面も見えてくる。たとえばコミュニケーションの場ではたばこだけが発揮できる利点もあるというのだ。今回は、そんな喫煙してプラスになったという意見をまとめてみた。

25〜35歳のビジネスパーソンに聞いた、喫煙所から始まるいい関係

喫煙者同士、一緒にたばこを吸う行為が、仲良くなれたり連帯感を感じさせる

禁煙ブームによって喫煙スペースが激減した昨今。喫煙者は決められたスモーキングエリアでたばこを楽しむことが多くなった。

そんななかで注目されているのが上記のコミュニケーション。たとえば会社においては、”喫煙”という同じ嗜好のもと、あらゆる世代、あらゆる部署の人々が集まる場所なので、これまでにない関係性が築けるのだ。

喫煙者同士の一体感。類似性と、喫煙者に所属しているという感覚。これが肯定的な印象を生み、同じ喫煙者同士、仲良くやれるんじゃないかと思うようになる。測定したデータに当てはめると、そういう結果がでている」

そう語るのは集団間関係の研究をする群馬大学・社会心理学者の柿本敏克教授。

今の時代、喫煙者はマイノリティとされるので、同じ場に集まることで一体感が増し、地位や階級等の差を軽く飛び越え、お互いの距離感がぐっと縮められる傾向が強いようなのだ。

しかも、仕事の息抜きであったり、自分の嗜好を楽しむ時間でもあるため、気分も軽くなり、会話が弾むというプラスもある。

思わぬ共通点を見つけることもあり、それが仲を深め、仕事にプラスになることも多いという。実際、会社における喫煙所での特別な関係性を表す”たばこ人事”という言葉も登場したほどなのである。

余談ながら、映画ライターを生業にしている筆者も喫煙者だったころ、同じく喫煙者のハリウッドスター、キアヌ・リーブスにインタビューし、たばこを吸うシーンに関する質問のとき「やっぱりたばこは止められませんよね」と意気投合したことがある。

このとき、キアヌとの間に”仲間意識”が芽生えのは確か。彼が近しい存在になったのだ。

喫煙によって会話の内容や流れや上手く取り繕い、自分の気持ちを隠したりもできる


たばこを吸うことで他者の注意をそらす、あるいは、そのときの話題を自分の思う方向へとシフトさせることが出来るという意見もある。

これはたばこが生活のアクセントでもあり、”吸う”行為が”喋る”場では特異に見えることに由来していそうだ。吸うタイミングや場所を考慮し、たばこを巧く使えば、文字通りその場を”煙に巻く”ことも出来るのかもしれない。

ただし、喫煙者なら誰でもいいコミュニケーションが取れるというわけではない。


喫煙者がもっとも嫌うのはマナーを守らないスモーカーたち」と前記の柿本教授もいうように、マイノリティという自意識がそう思わせるのか、社会の常識に反した行為や、他者に失礼にあたる行為をする人たちには被喫煙者よりも手厳しい傾向にあるようだ。

ちなみに、海外でよく言われるのが、日本人の喫煙マナーのよさ。多くの人がマイ灰皿を持ち歩いているからだ。

喫煙マナーの重要性は、たばこを楽しみたい人たちが誰よりもわかっているということになりそうである。