『mizutamaさんの紙モノBOOK かわいい紙モノがカンタンに手づくりできる』mizutama (著)/玄光社

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プレゼントにちょっとしたラッピングやちょっとしたカード、手作りの何かがプラスされていると、自分のために掛けてくれた手間が嬉しく、添えられた言葉以上に気持ちや愛がこもっているように感じると思う。だが、そのささやかな手間も作り方を知らないとなかなか実践が難しい。

以前、イラストレーター、消しゴムはんこ作家であるmizutamaさんの書籍『かわいいおりがみ手紙』を読んで苦手な折り紙をなんとか克服したが、依然かわいいモノ作りは不慣れで不器用である。

気軽な手作りテクニックを身につけたいと思い『mizutamaさんの紙モノBOOK かわいい紙モノがカンタンに手づくりできる』を手に取った。

この本には、mizutamaさんのデザインした紙モノ(特製ぽち袋、ペーパーバッグなどのラッピング、レターセットやメッセージカードなど)の型紙が付いていて、作り方の工程やアイデアがやさしく綴られている。

ページ後半にはmizutamaさんのイラストが描かれた、切り取るだけで作れる型紙や、mizutamaさんデザインのペーパーがたくさんついている。なかにはトレーシングペーパーやクラフト紙など、お店に並んでいそうなものもある。

私は、手紙や年賀状などに書き添える「ちょっとしたかわいいイラスト」を描くのが苦手なのだが、これを眺めているだけでもアイデアがいっぱい浮かんでくる。この「ちょっとした」というのは一番難しくて、気持ち悪い絵を描いてと言われたほうが期待に応えられそうな私にとってはとても勉強になった。

本の冒頭には「勇気を出してえいやっ! とハサミを入れてみてください」と書かれている。大人になって本にハサミを入れることが無かったため緊張したが、なかなか快感だ。型紙を見ながら自分でアレンジしても良いし、コピーをすれば型紙やペーパーを量産できるので手軽に紙小物を楽しめる。

特に素敵だと思ったのは、作り方の工程がだいたい2ステップまでしかないことだ。富士山の形のぽち袋がかわいくて気に入ったので作ってみたのだが、のりとハサミを使うくらいで、あとは簡単過ぎてあせるくらいだった。

おそらく本書で一番工程が長いペーパーバッグにもチャレンジしてみたが、作る前はよーし作るぞ、と少しかまえていたのだがあっという間に出来て驚いてしまった。

本書の編集担当者に話を伺った。まずは出版のきっかけを聞いてみた。

「mizutamaさんの『イラストレッスン本』や『消しゴムはんこ本』では、mizutamaさんの手作りモノのセンスが好きでご自分でも挑戦してみたい、という多くのみなさんにとても喜んでいただきました。ただ、みんながみんな器用で手作りに慣れているというわけではないんですよね。なかには、素敵なカードを作りたくても、mizutamaさんみたいにできないなんて方もいらっしゃると思うんです」
「この本は、今までイラストや工作に挑戦したくても諦めていたぶきっちょさんや、忙しくて時間の限られている人でも、『誰でも簡単にmizutamaさんの手作り雑貨が作れる』本にしたいという思いから作りました。はさみさえ使えれば、器用・不器用関係なく楽しめるというテーマで、これ以上簡単に、これ以上かわいく作れないという本にしたいと思いました」

たしかに、mizutamaさんの型紙と作り方さえあれば、これ以上簡単に、これ以上かわいく作れないというものだ。不器用な私にも軽々と出来たのでしみじみうなずく。
さらに、編集担当者の特にお気に入りの紙モノ、実際に活用しているものを教えていただいた。

「気に入って活用しているのは、『おうちBOX』です。デスクに置いて、かわいいクリップや特色チップ入れにしています。『ペーパーバッグ』はとっておきの相手へのギフトラッピングに、と思いつつ、もったいなくてまだデスクに飾って眺めています(笑)。『ぽち袋』は封筒がわりにもなるのでちょっとしたお手紙に使うと喜ばれます。あと、mizutamaさんご本人は『デザインペーパー』をスマホのケースにはさんでいました。かわいくて、さっそく私もマネしちゃいました」

私も引き出しの隅っこにあるクリップ、「おうちBOX」に入れようかなと思った次第である。そして、mizutamaさんはこの本のデザインペーパーを自身のスマホに入れてるのだなぁと嬉しい気持ちになった。

本書はとてもカラフルで素材もさまざまなデザインペーパーが入っており贅沢で、女子が「カワイイ」と、ときめく作りである。本書を編集されるうえで気を遣われた点も伺ってみた。

「型紙の紙や色は、mizutamaさんがすべて選びました。独特な色のセンスで、とにかくかわいさを追求して選んでくださいました。印刷所の方は『この紙にこのインクで刷るとは斬新! こういう色の組み合わせははじめて!』と、できあがりを楽しみにしてくださるほど。特殊なインクで印刷しているのですが、紙によっては思い通りの色に出すのが難しいものもありました。印刷所の方々に何度も無理を言って頑張っていただいて、こうしてかわいいビジュアルが完成したので、とても思い入れがあります」

デザインペーパーにはビタミンカラーからシックなチェック柄などさまざまなものがある。手触りに味わいのあるクラフト紙にもステキな加工がされていて、頑張った印刷所の方に私も感謝したいくらいだ。
そして最後に、本書のおすすめポイントも聞いてみた。

「切って、折って、貼り合わせるだけで、誰でもmizutamaさんのかわいい雑貨が簡単に作れちゃいます。型紙のデザインも紙も色もこだわりがギュッとつまった1冊です。お友達やご家族でチョキチョキ遊んで楽しんでください。できあがりのあまりのかわいさには感動すること間違いなしです! そして、できあがった紙モノ雑貨はご自分で楽しむもよし、大好きな人や大切な人にあげれば、素敵なコミュニケーションツールにもなります」
「この本では、mizutamaさんが使い道を教えてくれるのも特徴です。小銭を返すときに『ぽち袋』に入れて渡したり、プレゼントにロゼットを貼ってかわいくしたりっていうのは、相手に喜んでもらいたいという想いからくる発想だと思うんです。mizutamaさんの作るモノが魅力的なのは、決して自己満足の作品づくりではなく、まわりの人を楽しませる心があるからですよね。この本で、作る楽しみ、使う楽しみを体験していただけると思います」

私も手作りのコミュニケーションツールはあげる人ともらう人、互いのほっこり感がとても素敵だと思う。「作ったの?」とつい笑顔になってしまうし、「そうだよ」と照れるところまで愛しい。既製品も良いけれど、日常に気軽に取りいれられる手作り紙小物。ぜひ、おすすめしたい。
(鎌戸あい/boox)