パリの大人気ブランド「プチパン」の魅力に迫る!

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先日、表参道に出かけた際にギャラリー・ショップ「ギャラリー・ドゥー・ディマンシュ」青山店へ立ち寄ってみた。コネタでも本については何度か紹介しているけれど、ここはパリのアーティストたちのインテリアや暮らしを紹介する本を数多く発行している出版社ジュウ・ドゥ・ポゥムが運営する場所。

ギャラリーでは随時、イチオシのアーティストの展示が行なわれており、ショップではパリやヨーロッパのアーティストが手がけたアイテムの数々が売れられている。オシャレなアイテムがたくさん並ぶなか、独特の存在感を放っていたものがあった。それは雲の形をしたランプシェード。聞けば、パリで生まれた人気ブランド「プチパン」がデザインした商品とのこと。プチパンという響きもキュート!

ちょうど今年6月にプチパンの本『パリのプチパンのカラフルな暮らし』(ジュウ・ドゥ・ポゥム著)をリリースしたというので、さっそく拝見。「雲のランプシェード」も表紙に写っている!

「プチパン」は、中国・山東省出身のパンさんと、ベルギー出身のミリアムさんご夫婦によるブランドとのこと。パンさんは代々、カイト(たこ)を作っている家族の出身。ミリアムさんは子ども向けのビジュアルアートの教室を開いていたそうで、2人が出会い「プチパン」が生まれたという。

「雲のランプシェード」は、カイト職人の家に生まれたパンさんのルーツに影響されているのだろう。他に、モビール作品やテキスタイルなどのアイテムも魅力的なものばかり。せっかくなので、本書を編集した田島香子さんに、「プチパン」と本についていろいろ聞いてみることに!

――まずプチパンとの出会いを教えてください。
ツェツェから、「センスがよくて、おもしろいものを作っているカップルがいるよ」と紹介されたのがきっかけでした。最初に自宅を訪ねたのは『ようこそパリの子ども部屋』のとき。他のパリのアーティストたちの子ども部屋でも、プチパンのカイトやモビールなどが飾られているのをよく目にするようになって……。最近はキッチンアイテムやテキスタイルなどコレクションも広がって、ますますパリのおうち取材の中で、プチパン・アイテムを目にする機会が増えているように感じます。

写真に写っているのは、おふたりの家の部屋の一部。コレクションしているというカラフルな食器を一同に集め、プチパン・ワールドを作り上げている。ところで、ジュウ・ドゥ・ポゥムはさまざまなアーティストの部屋を紹介する本を出版しているが、本書はいつもと比べて写真の割合が多いような気が……!?

――本ではあえて写真を大きくみせるなど、意識した部分はありますか? また特に編集でこだわった点は?
今回はプチパンの世界(自宅&ショップ&アトリエ)だけで、構成したこともあり、これまで1冊の中で多数の家をご紹介してきたシリーズとは、ちょっと違う雰囲気になったかと思います。プチパン・ファミリーの家は天井高もあって、開放的な造りの部屋も多く、全体像をしっかり見せたいという思いがあり、1枚1枚の写真を大きめに扱って、ゆったりとした構成を心がけました。そうすることで、写真のなかから、プチパンらしいカラフルな色使いやプリントモチーフの合わせ方など、自由でユニークなディテールを読者の皆さんにも発見してもらえたらと思っています。他にこだわりと言えば、ミリアムさんとパンさんにいただいたテキストをもとに、日仏バイリンガル仕様にしたというところでしょうか。

「雲のランプシェード」をはじめとする立体的なアイテムだけでなく、プチパンは子ども服や、オリジナルのテキスタイルも人気だそう。テキスタイルにはそれぞれプチパンのおふたりによって名前がつけられている。

――テキスタイルにはいくつか日本の名前もついていますね?
ベルギー出身のミリアムさんと中国出身のパンさん、フランスでクリエーションしているふたりにとっては、日本語はユニークさを感じる言語で、日本の言葉にインスパイアされたようです。女性の名前や、昔話のタイトル、植物の名前などが付いているようですね。プチパンのオフィスには、日本人のスタッフも働いていらっしゃるそう。日本に対して、いい印象をお持ちだったからこそかと思います。

それはうれしいこと! ちなみに、パンさんとミリアムさんご夫婦には3人のお子さんがいて、本書では子ども部屋も紹介されている。子ども部屋もまたカラフルにかわいくまとまっていて、参考になりそう。

また、プチパンのブティック(お店)も紹介されているのだが、ブティックはご家族の家を再現したかのように、プチパンの世界観がそのまま広がっている!

――パリのブティックの人気ぶりはいかがですか?
ブランドを立ち上げた当初は、中国たこの伝統的なテクニックを取り入れたデコレーションオブジェが、パリジャンたちの間で話題になりました。今ではオリジナルのテキスタイルを使った子ども服や雑貨も、パリのライフスタイルに溶けこんでいってるようですね。最近は特にメルスリーと呼ばれている、テキスタイルの計り売りやボタンなどの手芸パーツが手づくり好きな人たちに人気のようです。もともと自分たちでカスタマイズしたり、手づくりしたりするのが、フランスの人たちは好きですし。プロダクト製品だけでなく、自分たちで工夫して、オリジナルでなにか作ることができる素材を提案しているというスタイルが、プチパンのデザインをより暮らしに身近なものにしているのではないかと感じます。

6月には、本書の発売を記念し、「ギャラリー・ドゥー・ディマンシュ」でプチパンの展示会が行なわれていたそう。

――展示会で特に人気があったアイテムは何でしたか?
今回の展示会では「雲のランプシェード」の人気が高かったようです。書籍の表紙の写真でも、プチパン家のサロンに、いくつか浮かんでいる様子が、ご覧いただけるかと思います。お部屋にひとつ雲が浮かんでいるなんて、なんだか楽しい気分になりますものね。この雲には電気ソケットは付いていないので、シェードとしてお使いの場合は、ご自身で電球の上にかぶせてお使いいただくことになるのですが、逆にそのままオブジェとして飾っていただける自由さがあります。壁面にいくつか並べて飾ったり、ディスプレイ棚にフィギュアなどと一緒に置いてみたり、アイデア次第で楽しい世界が作れます。

やっぱり「雲のランプシェード」は人気があるようだ。他にもちょっとしたコーナーに飾りやすい「ミニエッフェル塔」、鈴が入っていて風が吹くとその音色も楽しめる「ガーランド」、子ども部屋やキッチンなど、お部屋にあわせて飾りたくなる「モビール」なども人気とのこと。ちなみにプチパンのアイテムは「ギャラリー・ドゥー・ディマンシュ」のオンラインショップでも購入できる。

また、本書の読者からは「ページをめくるたびに広がるプチパンのふたりのユニークなインテリアのアイデアが楽しい」といった声が届いているとか。パリで大人気のプチパンならではの世界観を、ぜひショップや本で体験してみてほしい!
(田辺 香)