貴方をお姫様扱いしてくれる“皇子”たち。

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私には姉がいるのですが、学生時代によくラブレターをもらっていたそうです。いや、男子からではなく、女子からの恋文。確かにショートカットだし、そういや男っぽいかも。
一方で、理想の男性像を女子に求める女性もいますよね。清潔さや麗しさが魅力でしょうか?

そんな嗜好の方々に、この情報をお教えしたい。今年の3月、東京都中野区にオープンした店が、密かな話題となってます。その名は「皇子様 男装カフェ&バーPRINCE」。
店名通り、男装したスタッフが接客してくれるというこのバー。今までにも“男装喫茶”と呼ばれる店舗はありましたが、同店には他とは違ういくつかのポイントがあるようです。それは、以下。
●男子禁制
●禁煙
●お酒が飲める

さて。特別に同店に伺い、他店との違いなど諸々について聞いてきました! まず、このようなコンセプトの店舗をオープンしようと思ったきっかけは?
「中野はメイドカフェが増えたり、サブカルチャーの土壌として発展してきた現状があります。また以前より私が男装をしていたので、“男装バー”をやりたいなと思っていました」(店長・キスミさん)
確かに中野は、男装ユニット「風男塾」の本拠地でもある。「中野」と「男装」、実は親和性が高いのだ。
「また、女性が夜に一人飲みしようにも、男性に絡まれる可能性や恐怖がありますよね。そこで、思い切って“男子禁制”にしました」(キスミさん)
他の男装店には、男性客が多い。ということは、男性客は“太い客”となり得る。そういう意味で「男子禁制」は“賭け”でもあったが、他店との差別化も意識して踏み切った!

ここで、同店のコンセプトについて説明したい。男装スタッフは「皇子」、そしてお客さんは「姫」と呼んでください。「女性は誰しもお姫様として扱われたい」、そんな願いを満たす“お姫さまだけの秘密の社交場”がテーマです。
「入店したスタッフには、最初に“皇子としてのルール”を覚えてもらいます。『お客様のことは“姫”呼ぶ』、『一緒に働いているスタッフのことは“〜くん”か“〜皇子”と呼ぶ』、『お客様の言うことは否定しない。否定する時は先に肯定してから違う意見を述べる』などです。とにかく、お客様が“姫”でいられるようにもてはやす、チヤホヤするということを第一に考えています」(キスミさん)
仲間同士を「〜さん」ではなく「〜くん」と呼ぶなんて、ジャニーズっぽいな……!

さて、スタッフの言葉遣いについても探っていきましょうか。この辺、他店との明らかな違いが露わになってます。
「丁寧を一番に心がけていて、イメージは高級レストランです。高級レストランのスタッフは、男女関係なく決まった話し方をしますよね? 男装となると、男らしくするため“ぶっきらぼう”になっちゃったり、“野蛮”になる人もいます。そうではなく、PRINCEでは“丁寧な紳士のお店”を目指しました」(キスミさん)
実は今、男装はブームだそう。“見る方”だけでなく、男装をしたい側によるブーム。というわけで、同店に勤務したい方も殺到中です。だからこそ、スタッフ研修に関しては特に力を注いでいるらしい。

それだけではない。同店の「皇子」となるには、高いハードルがそびえています。
キスミさん スタッフ募集はほぼTwitterのみで行ったのですが、いきなり何百もの応募が寄せられました。
――皆さん、もともと男装をしていた方ばかりですか?
キスミさん いえ。コスプレイヤーの方もいますし、今まで男装したことはないけども「ずっと男装に憧れていた」という方もいらっしゃいました。
――なるほど。
キスミさん 現在は「一度、お店に遊びに来たことがある人」を応募条件にしているので、それで来て、見て、「うわ、働きたい!」と思う方もいるみたいです。内装や衣装に惹かれ、「この格好をしてみたい」というモチベーションもあるのでは……?
――現在、在籍しているスタッフさんは何名になりますか?
キスミさん 約15人になります。
――凄いですね。倍率にすると10倍ほどになるでしょうか。採用条件として、どの辺を重視されていますか?
キスミさん 「やる気」と、「お客さんを第一に考えられる人」を重視しています。
――なるほど。男装したいばかりが先走るのではなく。
キスミさん 「自分がチヤホヤされたい!」という感じの方は、ルックスが良くても不採用にさせていただいているんですね。
――ルックスよりも大事なことがあるということですよね。
キスミさん そうですね。たまたまルックスの良いスタッフが揃っていますけど(笑)。

そんなこのバー、実はお店の内装も気になるのだ。超雰囲気出てる。
「内装は、“西洋の王室”をイメージしました。衣装がクラシカルロリィタなので、そこに合わせています」(キスミさん)
店内には重厚なソファが並んでおり、これはなんとチェスターフィールド社のもの。
「『このソファを置きたい』という思いから、バー開店を考えました。そこから内装も決まっていきました」(キスミさん)
約50万円するというこのソファに座り、皇子からおもてなしを受ける。まさに“西洋の王室”にふさわしいゴージャス感じゃないですか!

さて、気になるメニューについて。『お絵かきオムライス』(1000円)は姫の目の前で皇子がケチャップで文字とイラストを描いてくれるし、『皇子まごころティー』(1000円)は皇子がメチャ高い位置から紅茶を注いでくれる。
「『相棒』の右京さんの3倍くらいの高さから注ぎますよ(笑)」(キスミさん)
特別メニューの『オリジナルカクテル』(1000円)は、姫から「さっぱり」「炭酸」などのイメージを伝え聞いた皇子が、その場でカクテルを作ってくれるカクテルだ。
その他、イベントも盛りだくさん。不定期でさまざまな催しが開催されるのだが、常時受け付けられているのは「お楽しみチェキ」(一人につき500円)なるオプションメニュー。好みの皇子を指名し、一緒にチェキで撮ってもらうことが可能です。もし2人の皇子と撮りたければ、計3人での撮影もOK。

そんな「皇子様 男装カフェ&バーPRINCE」の客層は、幅広い。20代前半は言わずもがな、30代もチラホラと。マダム(主婦)の来店も少なくないそう。
「“男装好き”に特化したお客様は、すでに老舗店舗へのめり込んでる場合が多いんですね。PRINCEは『一般の方でも気軽に男装の輪を楽しめる』というお店です」(キスミさん)

女性が女子校の感覚で同性に憧れるケース、よく耳にします。しかも男装皇子は下心がないので、男性相手よりも対象として安心できる。
「最近は中性っぽい綺麗さやカッコ良さが流行っているので、『男装がいい!』っていう女性が多いですよね」(キスミさん)
「男装」と「安心」、そして「お姫様扱い」が魅力の新店でした。
(寺西ジャジューカ)