パイオニアがAV事業をオンキヨーなどに売却で合意、共同運営で収益改善を目指す

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パイオニアが、AV 事業を受け持つ100%子会社パイオニアホームエレクトロニクス(PHE)の株式の一部をオンキヨーと香港の投資ファンドに売却することを発表しました。全株式のうち51%を投資ファンドの ベアリング・プライベート・エクイティ・アジア に、残りをオンキヨーなどが引き受ける計画です。パイオニアといえば5月、PHE の売却報道が出た際は「決定した事実はない」としていました。とはいえ、その時点で「ホーム AV 事業の抜本的見直しと子会社株式の一部売却を含めた協業については検討中」であることを認めており、今回ベアリングとオンキヨーがそれに応じた格好となりました。

パイオニアの AV 事業はしばらく赤字が続いており、オンキヨーとの共同経営で収益改善を目指すことになります。具体的にはミニコンポやホームシアターなどの製品分野が売却対象。今後もパイオニアブランドは継続しつつ、オンキヨーが持つ開発から製造、物流資源を共有するとともに、ベアリングの資本参加による事業規模の拡大で赤字体質からの脱却を目指す方針です。なお、パイオニアのDJ機器やカーエレクトロニクスなどは売却される PHE の事業には含まれません。

PHE 株の過半数を取得する予定のベアリングは、1997年創業のプライベート・エクイティ・ファンドで、日本国内でもこれまでにいくつかの中堅企業の買収、経営に関わってきた実績があります。プライベート・エクイティファンドは、企業を友好的に買収し、中長期的な視点で経営再建に向けた投資をするのが特徴です。企業側は買収後の投資によって経営の安定化が見込め、ファンド側は株価の回復による株主利益や、その後の新たな引き取り手への売却益を得るという仕組みをもつため、企業再生ファンドなどとも呼ばれます。

ちなみに、5月の報道でパイオニアの交渉先として名前があがっていたのは船井電機。船井といえば昨年、一度はまとまったフィリップスからのAV事業買収を、契約不履行を理由に一方的に破棄された苦い過去があります。その後、米ギブソンが同事業の買収を発表したのは記憶に新しいところ。気を取り直して、今度はパイオニアとの AV 事業買収交渉に臨んだ船井でしたが、結果はご存知のとおり。なんの因果か、オンキヨーもまたギブソン傘下の企業でした。

船井電機にも早くいい相手が見つかることを祈るばかりです。