CNN、産学と提携してドローンで取材の可能性を検証

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米国のジャーナリストの間では、無人航空機(Unmanned Aerial Vehicles(UAV)以下ドローン)をENGツールとして利用できるかに注目が集まっている。米国三大キー局のCNNでも、ドローン技術研究が進んでいるジョージア工科大学と提携し、この夏からドローンを使った実験を開始することを発表した。

研究はCNNの取材チームとジョージア工学大学研究所の専門チームによって行われる。プライバシーのリスクや安全性、報道機関でドローンの機能を発揮した現地取材の可能性を探るとともに、米連邦航空局(FAA)と研究データを共有していく。FAAでは現在、無人偵察機の商業的使用の規制を策定中で、報道関連による取材用途でも現状と同じく規制が入ってくる。FAAは来年9月までに規定する予定。

報道関係者や研究者からは、連邦政府が管理している土地の監視や自然災害の余波予測など、様々なドローンの利用価値が提案されている。しかし、FAAからの規定により未だに制限が厳しい。実際に飛行許可がFAAから下りるのが2〜3ヶ月かかる上、飛行範囲の制限もある。つまり9.11や3.11などの予測できない事件や災害の取材には全く使うことができないのが現状だ。

アーカンソーで発生した竜巻による災害後をドローンで空撮

4月末に米アーカンソー州で起きた大竜巻では、KATV(ABC系列)が災害の状況を空撮したシーンを速報したが、これはフリーランスのジャーナリストが個人のドローンで撮影したものだった。このように現在の報道機関では個人からの提供にゆだねているが、法的な不確実性によりマスコミの中では、個人の映像を使用することに消極的である。

©AP PHOTO/UNIVERSITY OF MISSOURI,ZACH GARCIA/AP
ミズーリ州立大学で研究に使われているDJI550ドローン。米国や英国の大学では、“ドローン・ジャーナリズム”といった専攻学科が登場している。最初に研究室を設立した2校の1つ、ミズーリ州立大学のジャーナリズム学科が行っていた、屋外でドローンを使用してのギャザリングにはFAAから禁止令が出されたように、商業用でなくても規制の目が光っている

(山下香欧)