コロンビア戦にのぞんだ、今野泰幸 (撮影/岸本勉・PICSPORT)

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失ってはいけない先制点はPKだった。ペナルティエリアで相手選手を引っかけてしまったのは今野泰幸ザッケローニ監督がこれまで一番合宿・試合を通じて招集し、起用してきた選手だった。

報道陣からは厳しい質問が今野に飛んだ。


――あの先制点の場面は?
「そのプレーもそうだし、後半もそうだし、やっぱり後ろが我慢できなかったですね」

――PKの場面は覚悟して飛び込んだ?
「覚悟と言うか、自分としては自分のタイミングでいけると思っていたし、自分ではボールに行ったと思うのですが、映像を見てみないとわかりません」

――先に失点したらダメージが大きな場面だったが。
「言い訳はできないです。責任を感じます」

――守り切れないというのでこれまでのチーム作りはどう思う?
「個人的には悔いは残るけれど、チームはやろうとしたことはやったし、その中で言い訳ができないくらいの力負けだったと思います。本当に言い訳ができない。何を言っても言い訳になるし。それくらいの差がありました」

どんな質問にも今野は気持ちを抑えながら答え続けた。一番打ちひしがれたのは今野だったのだろう。答える義務を感じているようだった。もっとも今野だけに責任をかぶせているだけでは、日本サッカーの進歩はないだろう。日本は力の差とともに、読みも間違っていたのだ。

――力の違いは?
「個の力もそうだし、組織的にも、あの10番(ハメス・ロドリゲス)が入った後は(相手を)はめようと思ってもかわされて裏を狙われてしまったので……。その中でも我慢しきれなかったですね。かなり圧力を感じていました。スピーディーだし、個人でもかわせる能力があるし、前半から圧力を感じていました」

「相手が4-2-3-1で来ると思っていたし、それでも前からプレッシャーをかけていこうと思っていたのですが相手も2トップで来た……」

何度もPKを責める質問が出たが、今野は何回も同じように答え続けた。その精神力は代表の最終ラインを任せるにふさわしい選手だったと言えるだろう。そして、その今野がPKを取られ負けたのなら、ザッケローニ監督は選手を責めることはないはずだ。

【取材・文/森雅史(クイアバ)、撮影/岸本勉・PICSPORT】

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