[Report Now!]ローランド Audio & Visual 新製品内覧会 2014

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去る6月11、12日の2日間、東京秋葉原のローランドイベントホールにおいて、NAB 2014やProlight+Sound 2014で出展した新製品および、6月18日から開催されるInfoComm 2014で出展される新製品を中心とした内覧会「ローランド Audio & Visual 新製品内覧会 2014」が開催された。

毎年恒例となっている内覧会だが、今年はマルチフォーマットビデオプレゼンター「PR-800HD」やデジタルスネークステージユニット「S-2416」、マルチフォーマットAVミキサー「VR-50HD」、AVミキサー「VR-3EX」、ビデオコンバーター「VC-1-DL」、放送設備用オーディオレコーダー「AR-3000SD」などが出展されたほか、InfoComm 2014で出展予定のマルチフォーマット・マトリックス・スイッチャーXSシリーズが先行出展された。

マルチフォーマット・マトリックス・スイッチャー「XS-84H」

マルチフォーマット・マトリックス・スイッチャーXSシリーズは、アナログRGBやY/Pb/Prコンポーネント、コンポジット、S-ビデオのほか、DVI対応のHDMIやHDBaseT入力を8系統装備しており、2系統出力に対応したXS-82H、3系統出力のXS-83H、4系統出力XS-84Hの3機種がラインナップされている。

HDBaseTは各社家電メーカーなどで構成されたアライアンスで策定された規格で、Ethernetケーブルを使用して、非圧縮の映像信号を長距離伝送できる家電製品向けの接続規格。非圧縮のHD動画、デジタル音声が伝送可能で、WUXGA/1080pフォーマットの映像信号を長距離伝送することができる。現状一般のAV機器に採用された例は少ないが、設備機器など長距離が必要となる用途ではHDMIに替わる伝送方式といえよう。

マルチフォーマット・マトリックス・スイッチャーXSシリーズは会議室やイベントホールなどでビデオプロジェクターや各種映像再生機器を相互に切り替える設備機器として開発されており、合成やマルチスクリーンも可能なほか、iPadによるワイヤレスコントロールにも対応している。なお、最上位機種のXS-84Hは4Kモードを搭載しており、4系統の映像をグルーピングしてスイッチングする4Kシステムを構築することが可能。また、4KとHDやSDサイズのビデオ映像、XGAなどのPCフォーマット映像を混在させたスイッチングもできるようになっている。もちろん様々なフォーマットの入力もスケーリング機能により統一したフォーマットで出力することができるほか、HDCPの有無にかかわらず、最速約0.2秒でHDMIの高速切替えが可能となっている。

その他新製品としては、NABで出展されていたAVミキサーVR-50HDやVR-3EX、ステージユニットS-2416、マルチフォーマットビデオプレゼンターPR-800HD、放送設備用オーディオレコーダーAR-3000SDのほか、システムプログラムがバージョンアップされ、機能アップや、バグフィックスが行われたVC-1-SH、VC-1-HS、VC-1-DLなどが出展されていた。

先月辺りからMBOの話題で経済紙などが同社を取り上げているが、27日の株主総会までには結果がでるだろう。今後同社は上場廃止し、事業の選択と集中をより迅速に行うとしている。これにより低価格化など競争の激しい電子楽器から映像・音響に力を入れて行くのか、会社全体からすると映像・音響に比べて電子楽器のウェイトが大きいことからそちらに集中するのだろうか。今後の動向が注目される。

注目の新商品XSシリーズを始め、一堂に会するローランド商品群

■マルチフォーマット・マトリックス・スイッチャーXSシリーズ

PinPなどの映像合成のほか、複数画面に映像を分割出力できるマルチスクリーン出力が可能。マトリックススイッチは映像のみ、音声のみの切り替えが可能で、自照式ボタンの色で識別することができる。音声はアナログおよびエンベデッドデジタルに対応しており、各チャンネル独立したレベル調節のほか、ハイパスフィルター、4バンドイコライザ、ノイズゲート、コンプレッサーを搭載している。

マルチスクリーン出力や画面合成も可能。1つの入力映像を分割してマルチスクリーン表示ができるほか、出力設定はプリセットすることができる。RS-232Cによるリモートのほか、LANによる各種設定に対応している。

オプションの無線LANアダプターWNA1100-RLにより、Apple iPadからリモートコントロールできる。iPadには専用アプリケーションXS Remoteをインストールし、プリセット切替えやビデオ切替え、オーディオボリューム調整などを行うことが可能で、タブレット上の操作画面はチャンネル名や背景画像の差し替えなどのカスタマイズもできるようになっている。

■AVミキサーVR-3EX

右側にビデオ、左側にオーディオを配置した直感操作のHDMI対応AVミキサーVR-3EX。パソコンとUSB接続し、専用ソフトウェアVideo Capture for VRを使用することで、映像/音声を録画可能。録画したファイルは編集したりインターネットにアップロードすることが可能なほか、ライブ配信用のソフトウェアを使えば、Ustreamなどインターネットライブ配信に対応可能。コンサートなどのイベントのライブからストリーミング放送など様々な場面で活用可能。

■マルチフォーマットAVミキサーVR-50HD

3G/HD/SD-SDI/HDMIなど様々な入力信号に対応したマルチフォーマットAVミキサーVR-50HD。VR-3EX同様直感的な操作と3G/HD/SD-SDIやHDMI、アナログRGB、コンポーネント、コンポジットの計12入力を装備。7インチのタッチスクリーンモニターを装備しており、合成確認やプログラムアウトのほか、4つの入力映像やUSBメモリーから読み込んだ静止画を同時に表示する7分割マルチビューに対応。小型ながらオールインワンでも優れた操作性を実現している。4レイヤーの映像を合成できるほか、ミックスや9種類のワイプ、PinP、クロマキー、ルミナンスキー、ユーザーロゴなど多彩な機能を搭載している。また、DV-7HDとの組合せでVR-50HDからの出力をリアルタイムにキャプチャーしてイベント終了後すぐに映像編集を行うことができる。

VR-50HDと北海道日興通信株式会社の簡易テロップシステムTELOPBOXによるネット&ライブイベントシステム。TELOPBOXはルミナンス合成対応スイッチャー向けのテロッパーでVR-50HDやV-800などと組み合わせてシステムを組むことで、3Dを初めとした高度なテロップを実現できる。ライブイベントなどで出演者の紹介や歌詞テロップ、曲紹介など様々情報を制作。VR-50HDで映像と合成して送出できる。

北海道日興通信株式会社TELOPBOXの画面。TELOPBOXはHDMI出力に特化した仕様になっており、イベント、学校等向けの簡易テロッパーとしてVR-50HDなどと組み合わせて運用するようになっている。

■デジタル伝送規格REAC対応機器

ライブミキシングコンソールV-Mixer M-200iやM-480、48トラックレコーダーR-1000など、ローランドが開発したデジタル伝送規格REAC対応機器による収録システム。新製品のS-2416などデジタルスネークによりLANケーブル1本で非圧縮の多チャンネル伝送が可能。

■デジタルスネークステージユニットS-2416

モジュラーシステムS-4000シリーズを元に24ch入力16ch出力にまとめたもので、コストパフォーマンスを追求したモデルとなっている。8ch入出力のAES/EBU端子やREACポートを2基装備したほか、S-1608など他のデジタルスネークとカスケード接続に対応しており、最大40chまで入力を拡張可能。全出力をミュートにする機能、REACやUSB、RS-232Cによるリモートにも対応している。

■マルチフォーマットビデオプレゼンターPR-800HD

4K/60p非圧縮送出にも対応し、様々な映像演出をイベントの進行に合わせてクイックレスポンス再生が可能。4台のPR-800HDをMIDI信号とBBで同期運転し、4K映像を構成するもので、原理的には台数を増やすことで8Kなども可能だという。コンサートやスポーツイベントなどのライブイベントや常設展示の演出など様々な用途に活用できる。映像の出画はマウスのクリックから0.1秒と各種ライブイベントの進行にジャストタイミングで対応できる。ループ再生のほか、リアルタイムで再生速度を可変できるほか、フェードやディゾルブなどの映像効果や任意の形状で画像を切り取ることができるマスク機能、指定時間にクリップを再生するスケジューラー機能などを搭載している。

PR-800HDの操作画面。サムネイルとして選択し、クリックするだけの簡単操作。ワイプや再生速度など画面内に配置されており、直感的なオペレーションが可能。

■オーディオレコーダーAR-3000SD

放送設備用オーディオレコーダーAR-3000SD。館内放送や駅の自動放送などで多くの実績がある同シリーズ。記録媒体やファイルフォーマットなど従来機種との互換性を保ちつつネットワークやプログラマブルタイマー、編集機能などを充実。更に24bit/96kHz対応で高音質化を実現した。

■ミニコンバーターVCシリーズ

ミニコンバーターVCシリーズのシステムプログラムがバージョンアップされ、VC-1-SH、VC-1-HS、VC-1-DLの機能アップやバグフィックスが行われた。これによりVer.1.21.21になり、映像信号の入力がない時アナログオーディオ出力にミュートをSDI出力のオーディオを常に16ch出力するようにし、未使用のチャンネルは無音データを出力されるようになった。

■8chレコーダー&ミキサーR-88

8chレコーダー&ミキサーR-88によるサラウンド収録システム&3Dモニタリング。ワンポイントサラウンドマイクDPA5100と、トモカのTMF-08-Rによる収録とDTS Headphone:Xによるモニタリングシステム。これによりR-88でサラウンドの各チャンネルのモニタリングとPCにインストールされたDTS Headphone:Xによりサラウンドのモニタリングが可能。

R-88には8chの入力がありワンポイントサラウンドマイクDPA5100からの5.1chサラウンド信号を独立して収録可能。NABではHolophone H2と組み合わせて紹介されていた。

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