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ディズニー映画といえば、『アナと雪の女王』が大ヒット中だけれど、7月にも期待作が公開される! アンジェリーナ・ジョリー主演の『マレフィセント』だ。これは『眠れる森の美女』の邪悪な妖精・マレフィセントを主役にした物語。

ディズニー映画にはマレフィセントのような、いわゆる悪役たちが必ずと言っていいほど登場するわけだが、彼らは「ヴィランズ」という総称で呼ばれ、グッズも出るほど、ヒロインたちに負けず劣らず人気が高いのだ。

そしてこの4月、そのディズニーヴィランズたちの印象的なセリフを集めた本『Disney ヴィランズ 魅惑の言葉』が、主婦の友社から発売された。表紙を飾るのは、注目のマレフィセント!

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同社からは2月にディズニーのヒロインたちの言葉を集めた『Disney プリンセス 愛の言葉』が発売されているのだが、今回は悪役たちのセリフばかりを収録したとてもユニークなもの。この本の編集者である、主婦の友社の北川編子さんに取材し、いろいろとお話をうかがった。

――まず、『Disney ヴィランズ 魅惑の言葉』を企画したきっかけ、経緯を教えていただけますか?
そもそもこの本は『Disney プリンセス 愛の言葉』と対を成すものとして企画しました。プリンセスやヒーローなど“善”が引き立つためには、必ず“悪”が存在しています。あまりスポットを浴びることがない「ヴィランズ」ですが、あえて彼らを取り上げることでディズニー作品の奥深さをよりアピールできるのではないかと思いました。
悪は物語の中だけの存在でなく、われわれも生きていたら必ず“悪役”的なもの出会ったり、ピンチに陥ったりすると思います。ディズニーヴィランズの言葉には、私たちがぶつかる試練があらわされているのです。その言葉を読み解くことで、試練を乗り越える力を手に入れる…というのが本書の大きなテーマです。
ディズニー映画『マレフィセント』も公開になりますが、実は今、隠れヴィランズファンが増加しているという読みもありました。“キモカワイイ”“コワカワイイ”ものへの人気が、それを後押ししていると思います。

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たしかに、あらゆる物語に「悪」の存在はつきものだし、世の中、人間社会にだってそう。この本に収録されているヴィランズたちの言葉を見ていると、「ふだん聞いたことがあるかも……」というものも多く、考えさせられる。例えば一部抜粋して紹介すると……。

「もし失敗したら、どうなるか……わかっているね」(女王/魔女 『白雪姫』から)

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「見つけた者勝ちだ」(ジャファー 『アラジン』から)

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「反対するものは俺たちの敵だ」(ガストン 『美女と野獣』から)

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他にもたくさん、辛らつな名ゼリフの数々が。

――本書で紹介している言葉はどのように選ばれたのでしょうか?
まずはディズニー映画の台本を読んで、そのなかから上記のテーマに合うものを選び、その言葉に合うアートを選んでいます。『Disney プリンセス 愛の言葉』もそうですが、ストーリーを知らなくても、その言葉だけで意味を持つもの、楽しめるもの、を基準にしています。

――編集するにあたって特にこだわった点、苦労した点はどんなところですか?
アートと言葉を合わせることに苦労しました。面白いセリフがあっても、その言葉に合うアートがなければ却下したり……。ヴィランズは特に、主人公たちに比べ登場シーンが少なく、アートの数が限られていますので。また、悪役の怖さだけを紹介して終わるのではなく、正義がどうやって、悪の試練を乗り越えていくのかセリフの裏に隠された部分も読み解きながら、紹介しています。

北川さんのお話にあるように、本書ではセリフについて簡潔な解説、読み解くヒントが書かれているのもポイント。また、日本語のセリフとともに、英語の原文が紹介されているのもいい。

――ヴィランズはなぜ人気があるのか。本書をつくっていく中で、改めて感じたヴィランズの魅力はありますか?
本の冒頭にもありますが、悪がいるからこそ、ヒーローやヒロインの輝きは引き立ちます。主人公に対抗できるようなインパクトだったり、ある種の魅力がないとバランスが取れないのだと思います。言葉の切れ味の鋭さや大胆な行動、強い信念は敵ながらあっぱれという感じで、目が離せなくなるのではないでしょうか。また、ひとくちでヴィランズといっても、いろいろなタイプがいて、その多様さがとても面白いです。冷酷、意地悪、負けず嫌い、自分大好き、野心家……。
彼らを見ていると、自分の心にもこんなキャラが潜んでいるかも、とドキッとすることがあるのですが、そのあたりも、ヴィランズを憎み切れないポイントかなと思います。妙に人間臭いキャラクターがいたりして。

そうなんです! 人間臭かったり、不思議とどこか憎めなかったり。ちなみに本書で紹介されている中でいうと、私は子どもの時に見た『不思議の国のアリス』のハートの女王がインパクト大だった。

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他に『シンデレラ』の継母、『101匹のワンちゃん』のクルエラ・ド・ヴィル!

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などが印象に残っているのだけれど、たしかにそれぞれタイプが違って面白い。前述したキャラクターを除き、他に本書で紹介されているのは、『ピーターパン』のフック船長、『ライオン・キング』のスカー。

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さらに『リトル・マーメイド』のアースラ、『塔の上のラプンツェル』マザー・ゴーテルと、人気のディズニーヴィランズが勢ぞろいしている。みなさんも、お気に入りのヴィランズがいるのでは?

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――本書の反響はいかがですか?
読み物に強い書店で特に売れ行きが伸びていて、セリフを読み解くことを楽しんでいただけているのかなと思います。店頭で「英語も学べる」というPOPとともに展開してくださる書店があったりと、さまざまな角度で手に取っていただけているようです。いくつかの媒体でも取り上げていただき、みなさんが今までになかった「ヴィランズ」というテーマを面白く思ってくださっているようで、ホッとしています。

――読者からはどんな声が届いていますか?
とにかく読みごたえがあると。子供の頃に見た映画のせいでヴィランズがトラウマのようになっている、という方もいて、懐かしさ半分、怖いものみたさ半分で、一気に読んでくださったとのことです(笑)。『プリンセス 愛の言葉』に比べて男性が面白がってくださることが多い気がしますね。

子どもの頃に見たヴィランズの影響が大きいというのはよくわかる。大人になってから見てみると、また感じるものも違うだろうし。本書を見ていたら、改めてヴィランズたちに注目しながらディズニー映画を見てみたいと思った。7月公開の『マレフィセント』の予習&復習にもおすすめの一冊!
(田辺 香)