八方向の視線移動とまばたきをリアルタイム測定する。

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おぎやはぎが「今となっては僕らのおかげで、メガネもいいイメージになりました」と発言していたが、確かに。いや、彼らのおかげではないのだけど、メガネにいいイメージがあるのは間違いない。普通に格好いい。
そんなメガネの代表的メーカーである「JINS」。過去にコネタでも取材した『JINS PC』は、もはやスタンダードとも言えるアイテムとなりました。他にも“目を保湿する眼鏡”『JINS Moisture』など、斬新なアイウエアを発表し続けるメーカーです。

そして昨日(5月13日)、JINSより新たなアイウエアが発表されています。その名は、『JINS MEME(ジンズ・ミーム)』。
これは、言わば“自分を見るメガネ”。眼の動きやまばたきを瞬時に感知し、視線を動かすことでスマホの操作も可能になるみたい。昨日行われた発表会では、JINS・田中仁社長が『JINS MEME』をかけて登場し、さまざまなデモンストレーションを見せてくれています。
「今、私は手品をしているわけじゃありません。本当に新しい技術により、いろいろなことが可能になっています」(田中社長)

では、順を追って。まず、どうしてこのような事が可能となったのか。これは、独自開発された「三点式眼電位センサー」の説明が必要になってきます。鼻パッドと眉間部分から検出される眼電位により、八方向の視線移動とまばたきのリアルタイム測定を実現するセンサーのようです。

「眼電位技術を採用することにより、疲れや集中度、興味・関心など、自分でもまだわからない“未知なる自分”をリアルタイムで知ることができるようになります」(田中社長)
「三点式眼電位センサー」の他に「六軸(加速度・角速度)センサー」も搭載しているメガネなので、体のさまざまな動きが測定できます。

では『JINS MEME』によって世の中がどう変わるのか、それを具体的に3つのシーンでご紹介しましょう。
1.オフィスシーン
『JINS MEME』なら、自分がどれだけ疲れているかをリアルタイムに教えてくれます。ユーザーの疲労指数を表すのは、『JINS MEME』ならではの新しい指標「me(ミー)」。平常時は0で数値が上がるほど元気……だと、お考えください。
「無意識の疲れや集中力の管理ができるようになります」(田中社長)

2.ドライブシーン
人は眠くなると眼の動きが変化します。眠気が増すとドライバーの眼は特有の動きを示します。
「実際に眠くなったら、アラームが鳴ります。眠気のデータはアプリと連動し、持ち主を見守ってくれます。眠気を感知し、リアルタイムでアラートを鳴らすことが居眠り運転防止に役立ちます」(田中社長)

3.フィットネスシーン
このシーンにおいては、前述の「六軸(加速度・角速度)センサー」が役立つ。体に異常(負傷、バランスのズレ等)が起きたかどうかは、体軸のブレなどに表れます。そのブレが反映された頭部の微細な動きを『JINS MEME』は感知するので、ケガせずスポーツを楽しむことが可能に。また医学利用としての展開も視野に入っているとのこと。もちろん、正確な歩数カウントや肺活量の計算等に役立てることもできます。

……と、あまりにも斬新な『JINS MEME』。でも、なぜこのメガネを新しいと感じるのか。その辺を解説してくれたのは、慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科の稲見昌彦先生でした。
「パソコンやスマートフォンでできる作業の一部を、単にハンズフリーにする。今までのパソコンを、ただ単にウエア(装着)する。そこだけに注目していたことが、長らく研究されていながらメディア型のウエアラブルデバイスの普及を阻んでいた原因ではないかと、私自身は感じております」
「今後求められるイノベーションのキーワードは、『人機一体』。人に寄り添うデバイスではないかと考えております。人に寄り添うことで、自然にサポートする。機械の方が人に寄り添い、近づいていく」
「私たち自身の内面を、眼を通してセンシングすることが可能となった。メガネ型ウエアラブルデバイスの可能性が大きく飛躍するのではないかと考えております」

当日の発表会では、稲見先生が教える学生が『JINS MEME』をかけており、そのデータが公開されています。彼らがプレゼンを聞きつつ頷いたり、拍手したり、そんな微細な動きが『JINS MEME』よってグラフ化されたデータです。興味・関心、喜怒哀楽、それら内面の動きが、精度の高い形で表になった!

このメガネ、私も体験させていただきました。メガネをかけ最適化を待っていると、私とスマホが通じ合った状態に。
そこからまばたきをすると、アプリもまばたきをしたことを察知します。スマホに描かれた瞳がまばたきし、下部にはまばたきの長さ(秒数)が表示されるのです。
また、視線右方向にやるとページが右ページにスクロールしたり、左方向を見ると左ページにスクロールしたり……。ちょっと、本当に未来だな!

これが、日常の風景となるのはいつか!? 『JINS MEME』は、2015年春発売予定だそうです。
(寺西ジャジューカ)