フランスの信号機は縦型が多い

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英国とフランスでは歩行者は信号無視をする。英国に住み始めた当初、歩行者信号が赤になっているのに、英国人は車が来なければ自分の判断で道路を横断していて驚いた記憶がある。日本人にとって赤は、何が何でも赤であり、止まらねばならず、無視をすると大罪を犯した気分になってしまうのだが、英国人はどんどん渡っていく。フランスで暮らし始めた際も、歩行者信号が赤でも人々は横断しており、欧州はどこも車が来なければ、自己判断で横断する人が多いのだと思った。

一方で知人を訪ねにドイツへ行った時に、同じ欧州だからドイツ人も英国式やフランス式で、車が来なければ信号の色は関係なく横断するだろうと思い、車が来ない交差点で渡ろうとしたら知人に止められた。ドイツ人は、信号はきっちり守るのだそうだ。

このように日本と海外では、歩行者信号に対する感覚も違うが、信号機の色についても各国で呼び方が違う。日本では信号の「緑」を「青」と言うが、英国やフランスでは「青」を「緑」と言い、また「黄」も「オレンジ」と呼ぶ場合がある。ただし赤、青、黄という3色が原則なのは世界共通だ。信号機は1868年に英国で登場したというが(初期は赤と青の2色だった)、なぜその3色なのだろうか。

まず赤は、脳が一番早く反応できる色であり、人間の目からはっきりと、そして遠くからも認識できる色なのだそうだ。加えて無意識的に血の色を思い起こさせ、危険も感じるのだという。青(緑)は色相環(色相を環状に配列したもので、向かい合った2つの色は互いに補完関係にある)で赤の対局にあり、脳がよく感じ取れる色でもあるという。黄(オレンジ)は色相環で青(緑)と赤から等距離にある色だ。それゆえ、これら3色が採用された。

読者の近所でも、運転していてイライラする信号機が1つくらいあるだろう。例えば「位置などの関係で確認しづらい」とか「この交差点は交通量が多いのに、すぐ青から赤に変わるため、交差点を抜けるまで時間がかかる」という場所があるはずだ。じつはそんな時、その信号機を管轄する県警に、改善してほしいと要望を出せるのだ。

各都道府県の警察庁のウェブサイトにある「信号機意見ボックス」に、そのような状況を報告すれば、その意見が交通警察行政の参考にされ生かされる場合がある。(都道府県によるが)インターネットの他にも、ハガキや封書、電話でも受け付けている。右折しづらかった交差点に、最近矢印信号がついたことを、近所で経験したことがあるかもしれない。そのようなケースも、もしかしたら信号意見ボックスに投稿された住民の要望が、改善に結びついた結果かもしれない。
(加藤亨延)