「いいね!」???

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執筆者としては自信作の記事が、読者には無風状態だったり、逆に新鮮味がないと思った記事が、ページビューを伸ばしたりといったことは、ときどきあるもの。

また、ページビューと、Facebookの「いいね!」の数が比例しないことが多々あるのも、ネット記事の面白いところだと思う。
たとえば、2月初旬公開の「『高校物理って結局、何だったの?』への答え」の記事。前編は「いいね!」が93、後編は322(3月8日現在)と、なかなか好調な数字を獲得したにもかかわらず、ページビューはそこそこだったことを知り、驚いた。
何故なのか。ウェブ担当者に聞くと、実はこうした現象は珍しくないと言う。
「インテリ系の話題だと、特にPCユーザーは『いいね!』をつける傾向がありますね。Facebookは原則実名でやっているだけに、知的な話題に『いいね!』をつけることで、そういった自分をアピールしたいところもあるのではないかと思います」

上記とは反対に、「ページビューは伸びるのに『いいね!』の数は伸びない」パターンもあるそうだ。
「たとえば、恋愛媒体。ウェブ媒体では恋愛ネタはすごく伸びるのに、『いいね!』は少ない傾向があるんです。特に、女性の本音ネタなどは、『自分がそういう女性だと思われたくない』という意識があるんでしょうね。アクセス解析を見ると、ちゃんと最後まで読んでいることがわかるのに……(笑)」

タイトルだけで釣られて、読んでみたらつまらないから「いいね!」をしないパターンももちろんあるが、最後まで読んでいる場合には、自分の本当の「興味」「関心」と、自分が周りに「どう見られたいか」が一致していないことが理由となっている場合もあるようだ。

ウェブの記事で閲覧数を稼ぎやすいものの一つが、下ネタ系記事。少し前にも、エロ釣りスパムを踏んでTwitterのアカウントを有名人がとられる事件があったが、下ネタ系はやはり閲覧数は多いのに「いいね!」が少ないと言う。理由は言わずもがなだろう。
「下ネタ系記事のもうひとつの特徴として、PCからはあまり見られていなくて、スマホからのアクセスが伸びるということもあります」

ちなみに、媒体別に1日の流れを見てみると、朝や夜はアプリやスマホ最適化が伸び、昼休みにPCの閲覧がピークを迎え、夕方にかけてPCが少し下がり、寝る前に再びスマホが上がるという傾向があるそうだ。こうした流れから、ビジネスマンが通勤時にスマホを利用し、会社の昼休みにニュース等をチェックし、寝る前にスマホを利用するという生活パターンが見えてくる。

テレビの視聴率で番組の評価が必ずしもはかれないように、ウェブ記事もページビューや「いいね!」の数で内容の良し悪しははかれない。
でも、数字の「裏側」には、読者の行動パターンや思考パターンが見えてくるのが、面白いところだと思うのです。
(田幸和歌子)