お花見の場所取りで役立つマナー

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譲り合いの精神を発揮して、必要最小限の広さで楽しむ

「世の中に たえて桜のなかりせば 春の心は のどけからまし」(古今和歌集 在原業平)。桜前線北上に連れ、各地で桜の開花宣言がなされると、心が浮き浮きしてくるのは日本人ならではの遺伝子のせいかもしれません。日本人は桜が好きですが、万葉集では梅の方が桜よりはるかにたくさん詠まれており、当時の花見と言えば、梅が主流だったのではないかと推測されます。

さて、現在で「花見」と言えば桜の花を眺め、愛でることですが、ご馳走と共に桜の美しさや華麗さを味わうだけではなく、周囲の風情との調和や雰囲気までをも楽しむことができれば、さらに充実するでしょう。そこで、花見の場所取りに関するマナーに触れてみます。

桜が綺麗に見えることがポイントですが、トイレまでの距離や平地かどうかも考慮して、ゴザやビニールシートを張り、参加者1人につき1平方メートルくらいの目安で広さを決め、団体名や使用時間等を書いておけば良いでしょう。花見が始まったら。隣近所のグループに挨拶をしておくのもオススメです。

「良い場所で、ゆったりと、広々と」と願うのは誰しもですが、他者に対する配慮も忘れないようにしましょう。現在のように花見が一般庶民の娯楽として定着したのは江戸時代からだと言われていますが、江戸しぐさには「こぶし腰浮かせ」という相手を常に気遣う思いやりの精神がありました。新人の幹事が、そのような美しいマナーを発揮して場所を押さえたら、上に立つ人は、それをけなすこと無く褒めてあげてください。


桜の木の下には入らず、折ったり切ったりはご法度

最近の桜のほとんどがソメイヨシノですが、根が弱いため、労わってあげましょう。桜の花が張っている下までは根がありますので、その範囲内には入らないように注意してください。また、「桜折る馬鹿、梅折らぬ馬鹿」と言います。桜は折ったり切ったりすると、そこから腐っていきます。決して、折ったり切ったりしないでください。

そして、「男(女)心と春(秋)の空」と言われるように、春の天気は秋同様に移ろいやすいのが特徴です。桜や他者に対する配慮は大切ですが、寒さ対策もしっかりと行い、自分たちもガードして、ベストコンディションで楽しめるようにしましょう。パブリックスペースにおける場所取りや飲み食いのマナーは非常に大切ですが、同時に後始末もお忘れなく。後の人が心地良く花見を楽しめるよう、「来た時よりも美しく」の精神で。

その昔、春は山から神様が降りて来られ「田の神」となって、穀物が豊作になるように見守ってくださいました。その神様を、心身を清め山にお迎えに行き、神様が鎮座されている桜の木の下で、神様と共に飲食をしたのが花見の起源とされています。色々な楽しみ方があってしかりですが、神様と共にする以上は、それなりの節度を守りたいものです。


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