【米国はこう見ている】ヤンキース監督がマー君獲得後初めてその才能に言及 「黒田とダルビッシュを掛け合わせたような能力」

田中は黒田とダルビッシュのハイブリッドタイプ

 ヤンキースのジョー・ジラルディ監督が春季キャンプスタート前にニューヨークポスト紙のインタビューに応じ、チーム合流のために渡米した田中将大投手について、7年契約1億5500万ドルの大型契約で獲得後、初めて言及した。

「映像で見る限りは彼の能力はある意味、黒田にも似ているし、ある意味、ダルビッシュにも共通点がある。彼は2人を掛け合わせたような能力を持っている。身体的には馬車馬のよう(にタフ)だし、長いイニングを投げたがるタイプで、大舞台でのピッチングを何よりも好む。だからこそ、彼はニューヨークに惹かれたのだろう。この男は先発で投げ続けていたが、チームのプレーオフ優勝の大詰めでは自ら抑え役までも務めた。彼は勝利に飢えている。このハングリーさはニューヨークで生きると私は踏んでいる」 

 メジャーを代表する先発投手となった2人の日本人、ヤンキース・黒田博樹とレンジャーズ・ダルビッシュ有とのハイブリッドタイプであると、ジラルディ監督は田中を分析している。球速や球種などのディテールには踏み込まなかったが、1シーズンを通して先発ローテーションを守り切るタフネス、1試合投げ切るスタミナ、そして、大舞台にひるまないメンタル面というビッグクラブの先発投手に相応しい優れた資質を絶賛。何よりも昨年の日本シリーズで楽天を日本一に導くために、自ら連投を志願してリリーフ役を務めた田中のタイトルにかける渇望感に触れ、昨年プレーオフ進出を逃した名門での成功に期待していた。

マッキャンの加入も田中の手助けとなる

 その一方で、田中の女房役となるブレーブスからFAで獲得した目玉補強となったブライアン・マッキャン捕手についても言及した。

「彼を獲得できて最高の気持ちだ。なぜなら彼の打撃面での実績も素晴らしいが、ホームベースを守る強いメンタリティーが何よりも重要だった。アトランタ(ブレーブス)では色々なタイプのピッチャーと仕事をしてきたし、日々成長している」

 そして、昨年20本塁打という長打力のみならず、絶妙なリードを武器とするマッキャンの獲得は、田中のヤンキース移籍決断を後押ししたと、指揮官は見ている。

「(マッキャンの補強は田中獲得に影響?)それはあり得る。もしも選手が移籍しようと考えるなら、まずはどんな選手と一緒にプレーするのかを調べるだろう。ピッチャーにとってキャッチャーはいつも接することになる相手だから、大事な存在だ。相棒が経験豊富でプレーオフ出場経験を持っており、自分の実績に誇りを持っているのだから、田中に及ぼす影響は大きいと考えるね」

 優れた人格面にも定評を持つマッキャンは、メジャー1年目でニューヨークの辛辣なメディアからの強烈なプレッシャーと闘うことになる田中の手助けになる存在だと見ている。

 スプリングキャンプを控える現有戦力については、ジラルディ監督はレッドソックスから獲得したジャコビー・エルズベリー外野手ら実力者を加えた打撃陣に関して、昨年以上の充実ぶりに手応えを示した。

「去年に比べてチームはずいぶん強化されたと思う。打撃面では去年になかった強力なメンバーを加えることができた。去年(負傷で)離脱していた選手も戻ってくる。攻撃面では去年よりも進歩していると思っている。先発投手だが、多くではないが、まだ役割に関して詰めなければいけないことがある。ブルペン陣に関しては春季キャンプで我々が最も集中して強化しなければいけない部分だろう。抑えに関しては今年よりも去年の方が少ししっかりしていたが、今年はデビッド・ロバートソンが我々に必要な抑えの役割を果たしてくれることを期待している。セットアッパーの問題もクリアしなければいけないし、先発ローテーションの5番手を争うメンバーのうちの誰かもブルペンに回るかも知れない」

 早急に着手しなければいけない課題はマリアノ・リベラの引退の影響で空座となったリリーフと中継ぎ陣の整備だろうか。スーパールーキー田中が加入し、全米が注目するスプリングキャンプで名門復権のドラマが幕を開ける。