セレッソ大阪にディエゴ・フォルランがやって来るという。この時期になると過去いろいろな噂が立っては消え、立っては消え、というのを繰り返してきた。カフー、デル・ピエロ、ラウール……。フォルランは本当に来るのだろうか。このコラムを書いている時点ではまだ正式発表されてない。正式に発表されるまでは信用しないよ(笑)。

というのはさておき、フォルランは前回W杯の得点王であり、強豪国のリーグでゴールをたくさん決めてきた正真正銘の大物選手だ。これほどの選手が来るのは誰以来だろうか。ホームもアウェイもお客さんが増えるのは確実だろうし、暗い話題ばかりが多かったJリーグにとっては久しぶりの景気のいい話だね。
 
そもそも、フォルランが来るという話の前から、セレッソ大阪は観客動員が好調だった。昨年の東アジアカップで柿谷曜一朗や山口螢が全国区に露出し、さらに柿谷のストーリー性をメディアが煽って描いたことで、今や舞洲の練習場は黒山の人だかりだ。客が入らない、入らないと嘆いているJリーグ各クラブにとって、ヒントとなりうる事例だろうね。
 
要因として大きいのは、やはり柿谷をはじめ選手たちのマスメディアでの露出だろう。僕はことさらに選手を祭り上げる「スターシステム」がスポーツ報道の本質を歪めていると語ってきたけど、Jリーグにおける柿谷報道の煽られ方は、海外ブランド偏重の悪しきスターシステムとは少し趣が異なるように思うね。

フォルランとの共演はセレッソファンのみならず楽しみなことだろう。ただし、フォルランの加入ニュースが野球の田中マー君の報道で霞んでしまったのは、野球とJリーグの差を感じる。マー君の年俸総額は7年で162億円。かたやサッカー界のスターは無料でミランに移籍したことを考えると、サッカーはまだまだだなと感じるね。