今までの日本代表は、いわばW杯に出場するための選手たち。1年後のW杯で“勝つため”の選手が、これからザックによって選ばれる

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コンフェデレーションズ杯(以下、コンフェデ杯)を終え、W杯本番まで1年となったザックジャパン。次の目標は、7月下旬に韓国で開催される東アジア杯だ。

コンフェデ杯では“結果”を残せなかったものの、日本が目指すパスサッカーに光が見えたという収穫もあった。国内組が中心となる次の東アジア杯では、コンフェデ杯で露呈した弱点を補う新戦力を発掘するのがザッケローニの目的だろう。

だが、ザッケローニの選手起用については、「先発メンバーがあまりに固定されている」「欧州組を重用しすぎる」「若手を呼んでも使わない」などの批判が常に聞こえてくる。

はたして、その指摘は的を得ているのか。番記者たちが明かす。

一般紙サッカー記者B氏 ザックはチームをブラジルW杯へ連れていくことを、まず最優先すべき目標に設定していた。だから、アジア予選を突破するまではいたずらに先発陣をいじらず、コンビネーションを熟成させながら確実に勝ち点を積み上げたんですよ。その手法は正しいと思う。欧州組が多く起用されているのは確かだけど、肩書だけで使ってるわけじゃない。その証拠にJクラブ所属でも、今のザックのサッカーに欠かせない遠藤保仁、今野泰幸、前田遼一はポジションを与えられています。監督はJの試合をこまめに回って、国内選手もちゃんと評価していますからね。

サッカーライターC氏 ザックが代表を招集するとき、若手選手のお試し枠というのがあるんです。将来有望そうな若手をひとりかふたり呼んで代表の常連と一緒に練習したり寝食を共にしたりすることで、まずはチームの雰囲気を経験させ、「いずれ自分はここに入ってこなければならない」と自覚させ、成長を促す。そうやって種をまき、本当に代表にふさわしい選手に育てば、あらためて呼ぼうというスタンスなんですよ。ザックジャパンに定着する若手が出てこないのは確かだけど、それは一度招集されても、その後、本人が成長の跡を示せなかったから。宮市亮にしても、原口元気にしても、大津祐樹にしてもそう。

B氏 ザックはむしろ、若手登用に積極的な監督だよね。

また、3−4−3システムの習熟が進んでいないといった批判もあるが、前出のC氏は悲観する必要はないとその声を一蹴する。

「3−4−3をなかなかモノにできないのは、これまで代表としての練習時間が絶対的に不足しているせい。岡田ジャパン時代から継続している4−2−3−1の基本陣形に比べ、3−4−3のときのほうがぎこちなくて当然なんですよ。でも、コンフェデ杯以降は、W杯本番までチームの勝敗に一喜一憂する必要がない。戦い方の幅を広げるため、じっくり陣形オプションの習得に取り組むはず。ザックは3−4−3に強いこだわりを持っていますからね」

いろいろな批判の声が上がるのは代表監督の使命。すべてはW杯本番で“結果”を出すのがザッケローニの仕事なのだ。

(写真/益田佑一)