得点者

前半32分 オウンゴ−ル(仙台)
後半6分 柿谷 曜一朗(C大阪)

現地に行ってないので雰囲気はどんなものかわからなかったけれど、テレビで見る限り、今年一番いいセレッソが出せたと感じている。特に、後半一枚目のカードを切るまでは素晴らしいチームになっていた。

スタメンとベンチ。



スタメンではシンプリシオが復帰して、新井場が持ちまわりで(?)キャプテンマーク。ベンチではブランコが入っている。ほぼ今季の陣容が固まってきた感じだ。藤本がケガから戻っていないが、山下もなかなかのパフォーマンス。

チームのシステムにしても、これまでの試合とは比べようもないほど整理されていて、見ていて楽しいセレッソが帰ってきた。

それはシンプリシオの復調が大きい。

やはりこのチームはシンプリシオのチームなんだなと感じさせた。彼と扇原がしっかりとボールを保持できるので、攻撃も守備も楽になる。

実はセレッソのサッカーのキモは「どれだけ遅くできるか」「どれだけ手数をかけられるか」だ。

運動量と速攻ばかりが目立つけれども、90分間それを続けるのは限度がある。どこかで力を抜き、息をつける瞬間が必要だ。それができなければ、ソアレス監督時代のようにずっと走り回って、後半心身ともにガス欠ということになる。

なのでその時々に応じて、シンプリシオ、扇原、藤本(この試合では山下)、茂庭のブロックが長く、安定してボールを持ち、そこから遅攻を行う、という方法も選択しなくてはいけない。

ただご存知の通り、茂庭と藤本、山下といったCB達は相手を封じることを第一義としていて、決してビルドアップやボール保持能力に優れているプレーヤーではない(藤本はやろうとすればできるのだけど、なぜかCBに入るとやらない)。なので、前のボランチ2枚がしっかりボールを持てるようにしないといけない。

それは他のチームもわかっているので、対セレッソ戦ではCBの二枚にはあまり突っかけず、その分ボランチにチェイシングを集中させ、後ろまでボールを下げさせる守備をする。特に昨日の相手だった仙台は前からの守備に長けているので苦戦していた。

ただ昨日はシンプリシオも扇原もうまく相手をかわし、フリーでボールを受けるようによく動いていたので、相手がプレスをかけそこねることが多かった。

そこからの攻撃も整理されてきた。左では扇原が丸橋の後ろに入り、そこから丸橋が持ち上げる形と、直接ウラをとる南野に長く入れる形の2パターンができてきた。相手がラインを高くとろうとすれば南野がその背後を狙い。嫌がって下がれば丸橋がボールを持つ時間と空間が生まれる。そして南野も丸橋も柿谷や山口螢との親和性がとても高いので、そこからフィニッシュに入る可能性も高い。

丸橋はオウンゴールこそあったけれど、終始よく効いていた。対面する右サイドバックの菅井がかなり攻撃的なのでウラをとるには勇気がいるけれど、果敢に挑戦し、それに成功していた。あとはエジノに入れるクロスの質を変えていけばかなりいい感じになるだろう。

今までは内容が伴わずに結果がついてきていた。しかしこの試合の前半では内容がいいのに結果が伴わなかった。不思議なものだな。

それでも、後半に柿谷がまたやってくれて、同点に追いついた。これにも大きな意味がある。

仙台は先行逃げ切り、どんな形でも先制すればどうにかして結果を残してくるチームだ。そんなチームは前後半の入りや終いをしっかりしてくる。鹿島なんかは逃げ切りを図る姿勢を「鹿島る」なんて言われているけれど、仙台だって中々だ。

それを後半早い時間で追いついたのだから、それはすごいことだ。相手の虚を突いたシンプリシオの仕掛けとラストパス、柿谷の冷静なシュート、ともに芸術的だった。

問題は、そこから試合をひっくり返すまでに至らなかったことだ。

この試合では機能していた南野をブランコに、柿谷を杉本に交代させている。

後半26分南野→ブランコ

後半40分柿谷→杉本

結果論だけれど、これは失敗だった。攻撃がノッキングして、守備も軽くなって、何もいいところがなかった。

ただ、シンプリシオが好調だったことを踏まえて、親和性が高い(と、踏んでいた)エジノ、ブランコを残した。という意図は感じられるし、彼らが戦力として機能しなければ、これからの長いリーグ戦やカップ戦を戦い抜けないのだから、試す価値はあった。数は少ないけれど、エジノのミドルなど今までにない動きも出てきた。開幕から6試合も使ってそれかと言われるとなんともなんだけれども…。

勝ち点2を逃したか、勝ち点1を拾ったか、考え方は人それぞれだと思う。本気でタイトルを狙うなら勝ちにいけとも言えるし、長いシーズンなんだから戦力の拡充を狙えとも言えるし、どうとでも。シーズンが終わった時、そこまでこの試合を評価するのは棚上げしたほうがいい。

ここから勝てば何の問題も無いのだ。失敗を糧にしてでも、前に前に進もう。