世界の国名、その面白い意味とは?




各国の国名の由来を知っていますか? 国名と同じく、その国を表している国旗の場合は、国が独立する際に、国民が理想に燃えてデザインすることが多いようで、例えば「白は理性を意味し、緑はイスラムの色で……」といった風に決められます。



しかし、国名はどうもそうではなく、その由来には因縁話めいた経緯があります。面白い国名の意味を紹介しましょう。



■マリ共和国

「マリ」はバンバラ語で「カバ」の意味なので「カバ共和国」になる。なぜこんな名前かというと、かつて繁栄した『マリ帝国』にあやかって付けられたとのこと。



■ロシア連邦

ロシアの語源となったRus「ルーシ」はバイキングの部族の名称だったようです。そのバイキングが侵入してキエフあたりに住んでいたと。このRus「ルーシ」はそもそも「櫓を漕ぐ人」という意味なので「櫓を漕ぐ人連邦」になります。





■ベラルーシ共和国

スラブ語belaとRusを合わせてベラルーシで、balaは「白い」でRusはロシアなので「白いロシア」。Rusの意味が上記のように「櫓を漕ぐ人」なので「白い櫓を漕ぐ人共和国」でしょうか。



■ルーマニア

英語のつづりはRomaniaで、ローマニア、つまり「ローマの土地」です。紀元前6世紀ごろにローマ帝国の領土になったことがあり、その名前なのだそうです。ローマ帝国が滅んでもまだこの名前というのがすごいと思いませんか?





■カメルーン共和国

日韓ワールドカップの際に、大分県中津江村に代表チームが来日して一気に身近な国になりました。代表チームも明るい、愉快な人たちでしたが、この国名もちょっと面白い由来です。ポルガル語のcamaraoを元とするそうです。



camaraoは「エビ」という意味です。そもそも15世紀にこの地を訪れたポルトガル人が「川にエビがたくさんいる」のを見て、そう名付けたそうで、それがそのまま国名に使われているのです。つまり「エビ共和国」です。





■ナミビア共和国

狩猟民族サン人の言葉、コイサン語namibが元で「何もない土地」という意味です。「何もない土地共和国」ですね。ナミビアの南部にはナミブ砂漠があって、もともとこの砂漠を意味していたのが国名になったと考えられています。



何もない土地共和国はちょっと寂しいような気もしますが……。



■ベネズエラ・ボリバル共和国

このベネズエラという国名の由来もちょっと変わっています。1499年にこの地を訪れたスペインの探検家が、マラカイボ湖畔にあった原住民の高床式の(水上)住居を見てVenezuola「小さなベネツィア」と呼んだことから、その名になったというのです。



現地の人にとってはかなり失礼な話だと思いますが、この説は有力なのだそうです。



■アルゼンチン共和国

銀を意味するラテン語のargentumを元としています。つまり「銀共和国」です。独立した時にはリオ・デ・ラ・プラタ連合州という名前でした。リオ・デ・ラ・プラタはスペイン語で「銀の川」のこと。そもそも、その名前の由来になった、ラ・プラタ川は侵略者であるスペイン人が「きっと銀の鉱脈があるぞ!」と信じて付けた名前。



同じ「銀」でも、スペイン語からラテン語に変更したのは、スペインの圧政を忘れるためだそうです。



■ネパール連邦民主共和国

サンスクリット語で 「麓」を意味するnipaと、「国」を意味するalayaが語源だそうで「麓の国」です。何の麓かというと、もちろんヒマラヤ山脈です。ネパールの国旗は三角形を縦に2つ並べたもので、四角形でない国旗はこの国だけです。





■インド共和国

大いなるインダス川のインダスが元になっているようです。歴史で世界四大文明の1つ「インダス文明」と習ったと思いますが。サンスクリット語のsindhuは「大河」の意味だそうで、つまり「大河共和国」です。



■オランダ王国

ここが面白いのですが正式名称はオランダではありません。オランダ語ではNederland(ネーデルランド)、英語だとNetherland(ネザーランド)。意味は「低い土地」ですから「低い土地王国」です。日本で一般的に使われているオランダという国名(俗称?



)は、ホラント(Holland)という言葉のポルトガル語訳の「Holanda」が戦国時代に宣教師によって伝えられて広まったせいだそうです。Hollandは、スペインとの戦争で中心的役割を果たしたオランダの州の名称で、その当時にはまだネーデルランドではなかったのでこの地方の名前が国の名前に代わって使われたのでしょう。





■オーストラリア連邦



ラテン語のaustralisが語源で、意味は「南の」なので「南の国連邦」になります。中世のヨーロッパの人達は、インドに南に未知の大陸があると考えていて、それを「terra australis incognita」と呼んだそうです(意味は南の未知の大陸)。



ちなみにヨーロッパのオーストリアは、ドイツ語の「Osterreich」が元になっていて、こちらは「東の国」です。



■ホンジュラス共和国



スペイン語のhonduraオンドゥラ(深いという意味)を元にすると言われています。(アメリカ大陸を発見した)コロンブスが1502年に、この土地に碇を下ろそうとしたところ、海底まで届かなかったので、その名を付けたというのです。



なので「深み共和国」ですね。



■イラク共和国



何かと話題のイラクですが、国名の意味は「湿地」だそうです。もともとはuruk「ウルク」で、これはあのメソポタミア文明(紀元4000年前)、シュメール王国の首都です(ギルガメシュ大王で有名)。歴史で習ったように、メソポタミア文明というと、「チグリス・ユーフラテス川にはぐくまれた」ですから、確かに湿地なのかもしれません。





■フィリピン共和国



スペインが付けた名前を使っています。1542年に、スペイン皇太子だったフェリペ(この後即位してフェリペ2世)にちなんでラス・フィリピナス諸島と名付けたのが元です。スペインは16世紀半ばから19世紀終わりまでフィリピンを植民地支配し続けました。





■日本

こうしてほかの国々の国名の由来を見てみると、日本というのは珍しい国であることがわかります。植民地であった歴史を持つ国々の多くで、かつての宗主国が付けた名前がそのまま使われていたり、また、「こう呼ばれていたから」といった理由で国名が付けられていたりします。



しかし、日本の場合には「自分たちで言いだした名前」のようです。日本史で学ぶ、遣隋使の「日出ずる国の天子……」という例のくだりです。唐の歴史書『旧唐書』に『日本国伝』というのがありますから、そのころからすでに「日本」だったわけです。



名前の由来は「太陽の昇る国」ですね。



国名にはその国の歩んできた血と汗がにじんでいるような気がしませんか?



(谷門太@dcp)