ベスト4進出は大健闘! ただ、メダルを逃した理由も考えよう!

なでしこジャパンが銀メダルで、男子が準決勝進出。ロンドン五輪は男女ともに収穫の多い大会になった。

なでしこは粘りに粘って決勝まで勝ち進んだ。決勝のアメリカ戦も個々の能力で上回る相手にいい試合をした。メダルへのプレッシャーは、優勝した昨年の女子W杯とは比べものにならなかったはず。銀メダルでもよくやったと思うし、おめでとうと言いたい。

チーム状態は決して万全ではなかったね。大黒柱の澤のコンディションはよくなかったし、主将の宮間も本来の実力からすれば物足りない部分もあった。ただ、それでも全員がよく守ったし、前線では女子W杯で活躍できなかったFW大儀見の頑張りもあった。チーム全員で勝ち取った銀メダルだ。

メンバーの顔ぶれや年齢を見れば、今後は世代交代が必要になる。U−20女子W杯を戦うヤングなでしこ(U−20女子代表)も含めて、チームがどう姿を変えていくのかに注目だ。

一方の男子は、僕だけじゃないだろうけどベスト4進出なんて予想もしていなかったよ。うれしい驚きだ。とにかく選手たちがよく走って、よく守った。頑張ったよ。2010年南アフリカW杯同様、大会直前に決めた守備重視の戦術がハマったね。初戦の優勝候補のスペインに勝って「これだ」となった。関塚監督とスタッフの分析と決断も評価すべきだろう。

ただ、男子に関していえば、「よかった、よかった」と手放しで褒めるつもりはない。メダルに手が届きそうで届かなかった理由にも、しっかりと目を向けるべきだ。

その一番の理由とはオーバーエイジ(OA)枠の使い方。確かに、吉田と徳永のふたりが加わり、守備は安定した。特に吉田のリーダーぶりには目を見張るものがあったよ。

でも、前線はどうか。日本が負けた韓国にしても、メキシコにしても、A代表でレギュラーを務めるOAのFWが大事な場面で得点を決めた。対して、日本はOAで攻撃的なポジションの選手を呼ばなかった。ひとりで局面を打開したり、決定的な仕事をしたりする選手の不在。その差が最後に出たね。

日本のOA枠はひとつ余っていた。たらればを言えばきりがないけど、岡崎、前田などA代表のFWがいれば、違った結果になったのかなと思ってしまう。これは関塚監督の責任ではなく、選手招集の交渉に失敗した日本サッカー協会の責任。メダルへの本気度が足りなかったということ。その点は真摯に反省すべきだし、メディアも指摘しなければいけないよ。

さらに言うなら、選手個々の能力も物足りなかった。韓国はメンバーの半数近くがすでにA代表のレギュラー格。でも、日本にはひとりもいない(OAの吉田除く)。 今回、ボランチの山口は守備的な戦術にあって存在感を発揮した。でも、A代表には長谷部と遠藤がいる。僕が期待していた右サイドバックの酒井宏もミスが多く、内田からポジションを奪うほどではなかった。

逆に、面白いのはFWの大津だ。ハートも体も強く、ゴール前でのアイデアもある。特に韓国戦では闘っていたよね。今後の頑張り次第では、岡崎のいいライバルになるんじゃないかな。

選手たちには韓国に負けた悔しさを忘れずに、所属チームでのさらなる成長を期待したいね。

(構成/渡辺達也)