ロンドン五輪の男子サッカーが開幕し、日本は初戦でスペインを1─0で破った。現世界王者ということで、下馬評では圧倒的にスペイン優勢だったが、日本のやることなすことすべてがはまった試合だった。

大会に入る直前まで、関塚監督率いるU-23代表のチーム状態は芳しくなかった。メンバー選考も含めて迷走を重ね、テストマッチの試合内容も寂しいものだった。誰がこの結果を予想しただろうか。

やはり、サッカーとは人間がやるスポーツだ。どんなに机上で御託を並べても、最後は人と人が芝の上で戦う。スペインというビッグネーム、下馬評での圧倒的な差、という要素が、日本の選手たちの意識に火をつけ、逆にスペインの油断を生んだ。日本は最後の最後まで全力で走り、集中力も切らさなかった。普通、ああいう試合はなかなかやれない。相手の価値が、自分たちに力を与えてくれた感じだね。

決定機を逃したのはマイナス要素かもしれないが、あれだけカウンターで長い距離を走った後だと、シュートのときにはもう膝が踊ってしまっている。致し方ない部分もあるね。

オーバーエイジの吉田も徳永もよくやっていた。特に吉田はケガを乗り越えて、テーピングしながらキャプテンマークを巻いている。A代表での経験が、安心感をもたらし、そのメンタリティがチームを落ち着かせていたね。

スペインは期待はずれだった。こんなものではないだろうが、バックラインは遅いし、足元もおぼつかない。日本をリスペクトしていなかったことも、彼らの敗因だろう。そういう意味では、A代表とはまったく別の国、次元が違うね。ただし、マタは特別な選手だった。驚異的なクオリティだね。

まだ、グループリーグの初戦が終わったに過ぎない。96年のアトランタ五輪、ブラジルを破った「マイアミの奇跡」のときは、その快挙一つで燃え尽きてしまった。今回はその二の舞を踏まぬよう、次戦以降により気を引き締めていかなければならない。これだけ消耗した試合のあと、中2日で2試合目という状況で、モロッコとどう戦うか。ある意味では、ここがこのチームの真価が問われる一戦とも言えるね。

グループリーグを1位で抜けることができれば、ブラジルとの対戦を避けることができる。今大会のブラジル代表は驚異的な強さだ。日本はせっかくいい位置に立てたのだから、ぜひともグループ1位突破をしてもらいたいね。