『テロとの戦い』という名の下で、監視社会に向けてさまざまな技術が導入されている。それは国民の安全、国家の安全のためと言われるが、実際は誰が、なにを監視するためなのだろう。


「テロとの戦い」以前から、アメリカ政府が情報機関を使って盗聴などを行っていたことはもはや周知の事実である。1970年代にも、政府の不法行為を捜査するために「チャーチ委員会」という上院外交委員会が民主党上院議員フランク・チャーチによって作られCIAやFBIなどの職権乱用を調べる大規模な捜査が行われている。

1975年、チャーチ議員は 「国家安全保障局(NAS)が行っている諜報活動は、いつなんどきアメリカ市民に対して向けられることになりかねない。電話、電報などすべてが監視されれば、アメリカ人にプライバシーはなくなるだろう」と発言しているが、彼の懸念はもはや現実となった。

2008年、元ニューヨーク州知事がホテルの客室で高級売春クラブで「買春」をしていたことが米FBIの盗聴で明るみになり、知事を辞任した事件があった。元知事の買春が公になったのはFBIが政府にかかわる銀行取引に関する捜査をしていた関係からだといい、おそらく一政治家を失脚させるのによいタイミングであったのだろう。なぜならこの知事はそれまでにウォール街の不正取引を告発してきた経歴があるからだ。失脚させることで何かを隠そうという大きな力が働いていたのであろう。



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