――昨年8月、岡見選手はブラジル大会でアンデウソン・シウバが保持するUFCミドル級王座に挑戦。2ラウンドKO負けという結果でしたけど、あの一戦はどう受け止めています?

 練習で自分を追い込むのはいつものことですけど、精神的にちょっと追い込みすぎてしまった感はありましたね。打倒アンデウソンにかける気持ちが強すぎて、楽しみながら練習するという感覚を忘れていたんですよ。そのせいで視野がどんどん狭くなってしまった。

――すぐ立ち直れた?

 試合映像を見返したら情けなくなりました。周りも慰めてくれたけど、それはそれで逆にツラくなったり(苦笑)。当然落ち込んだけど、どん底からまた這い上がらなければいけない。負けても前に進めば、何か見えてくる。これまでの経験から、それはすごく感じますね。どんな職業でも同じだと思うけど、ポジティブに考えないとやっていけないでしょう。

――現在のUFCはどんどん技術が進化しているため、あらゆるシチュエーションを想定して対策を立てないと勝てない。

 対策を立てるのは重要だけど、その前にきちんとした下地をつくっておかないとどうにもならない。レスリングができない選手に『テイクダウンしてくれ』と指示を出しても対応できないじゃないですか。事前にあらゆる細かい技術レベルを上げておくことが必要不可欠でしょうね。

――最近のUFCはアメリカでボクシングを凌駕するほどの人気ですが、すんなりと日本人に受け入れられると思います?

 観客としてUFCを観戦した経験もあるけど、あれほど興奮できるイベントはないですよ。PRIDEともまた違って、UFCにはUFCの形がある。純粋にスポーツとして認知してもらえるのが理想ですね。日本に大リーグが来たら素直に喜ぶプロ野球ファンもいるじゃないですか。そういう感じになってくれたらうれしい。一番大切なのは日本大会を継続させること。僕らが大会を盛り上げて、勢いをつけられたらいいと思います。

(取材・文/布施鋼治、撮影/長尾 迪)

■岡見勇信(おかみ・ゆうしん)
1971年 7月21日うまれ。30歳。神奈川県出身。02年「PRE−PRIDE.4」で優勝しデビュー。03年アブダビコンバット日本予選男子88kg未満級で優勝。06年「UFC62」でアラン・ベルチャーと対戦、UFC初陣を勝利で飾る。10年「UFC122」で強豪ネイサン・マーコートに勝利、ミドル級王座挑戦権獲得。11年「UFC134」でアンデウソン・シウバのミドル級王座に挑戦するもTKO負け。http://ameblo.jp/yushin−okami/

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