【寺野典子コラム】内田篤人、新たな戦い(2)
彼自身が苦手だと断言する「継続や努力」が成果となって現れたわけだ。
「でも、多分、次の試合は出ないと思うよ。まあ、焦らずボチボチやるかなぁ。シーズン長いんだから」
今季先発落ちするたびに、試合後の会見で繰り返してきた言葉をその日も繰り返したので、聞いてみた。
「でも楽しくないでしょ、毎日」
「楽しくはないよ。サッカー楽しかったのになぁ。去年は」
「それ。試合に出ていたからでしょ?」
「アハハアハ。そうだよね」
シーズン開幕直後、そして移籍マーケットが閉まる直前、ランクニック監督は内田を呼んで話している。
「君に力があるのはわかっている。それに代表戦もあるし、スケジュールも過密だ。今は新しい選手を試しているところ。タイミングが来たら、起用するから、焦らずにやってくれ」
確かに毎月のように代表に招集され、他のチームメイト以上の距離を移動し、代表戦でプレーしている。ただ、そんな内田を気遣ってのベンチ起用だったとしても、監督の言葉をうのみにできるほど、プロの世界が甘くはないことを内田は理解している。同時に21歳のドイツ2部から加入した選手に自分が劣ると考えているわけでもない。「なぜ俺じゃないんだ」という思いを抱きながらも内田は慌てることはなかった。高校を卒業してからの日々、常に先発の座を手にしてきたから、出来なかったトレーニングもある。出場機会がないときはそれを行った。
「先発から外れてしまったW杯のような大きな落胆はあるの?」
「うーーん。試合に出られなくなったのは同じだけど、あのときとは気持ちがまったく違う。そうだね自分のクラブだからさ、ここは」
表面には見せない自信が漲っていた。
過去鹿島でのブラジル人監督や岡田監督などのように「自由にやっていい」と選手に任せてくれるタイプの監督に比べると、ランクニック監督の指示は細かい。経験のなかった指揮官の意図が掴みきれないという戸惑いもあったはずだ。内田に限らずチームメイトの中でも同様の戸惑いがあったように思う。練習中の雰囲気がなぜかしら重く感じられたからだ。
9月22日、そのランクニック監督が健康問題を理由に監督を辞任。その直後のフラィブルク戦では、バイエルン戦に先発した内田、クルーゲが先発し、ランクニック体制では起用の少なかったメッツェルダーやフラドも途中出場。特にフラドは伸び伸びとプレーし、見事なパスでラウルのゴールをアシスト。チームは4−2で勝利し、内田も逆転ゴールのアシストをマークしている。
8月中旬から約1カ月あまり、ベンチスタートとなった内田の経験は今後どのような影響を彼に及ぼすのか? そして新監督は内田をどう起用するのか? 新監督の就任が予想されるリーグブレイクの間、代表でチームを離れることが不利にならなければいいのだが。
「でも、多分、次の試合は出ないと思うよ。まあ、焦らずボチボチやるかなぁ。シーズン長いんだから」
今季先発落ちするたびに、試合後の会見で繰り返してきた言葉をその日も繰り返したので、聞いてみた。
「でも楽しくないでしょ、毎日」
「楽しくはないよ。サッカー楽しかったのになぁ。去年は」
「それ。試合に出ていたからでしょ?」
「アハハアハ。そうだよね」
「君に力があるのはわかっている。それに代表戦もあるし、スケジュールも過密だ。今は新しい選手を試しているところ。タイミングが来たら、起用するから、焦らずにやってくれ」
確かに毎月のように代表に招集され、他のチームメイト以上の距離を移動し、代表戦でプレーしている。ただ、そんな内田を気遣ってのベンチ起用だったとしても、監督の言葉をうのみにできるほど、プロの世界が甘くはないことを内田は理解している。同時に21歳のドイツ2部から加入した選手に自分が劣ると考えているわけでもない。「なぜ俺じゃないんだ」という思いを抱きながらも内田は慌てることはなかった。高校を卒業してからの日々、常に先発の座を手にしてきたから、出来なかったトレーニングもある。出場機会がないときはそれを行った。
「先発から外れてしまったW杯のような大きな落胆はあるの?」
「うーーん。試合に出られなくなったのは同じだけど、あのときとは気持ちがまったく違う。そうだね自分のクラブだからさ、ここは」
表面には見せない自信が漲っていた。
過去鹿島でのブラジル人監督や岡田監督などのように「自由にやっていい」と選手に任せてくれるタイプの監督に比べると、ランクニック監督の指示は細かい。経験のなかった指揮官の意図が掴みきれないという戸惑いもあったはずだ。内田に限らずチームメイトの中でも同様の戸惑いがあったように思う。練習中の雰囲気がなぜかしら重く感じられたからだ。
9月22日、そのランクニック監督が健康問題を理由に監督を辞任。その直後のフラィブルク戦では、バイエルン戦に先発した内田、クルーゲが先発し、ランクニック体制では起用の少なかったメッツェルダーやフラドも途中出場。特にフラドは伸び伸びとプレーし、見事なパスでラウルのゴールをアシスト。チームは4−2で勝利し、内田も逆転ゴールのアシストをマークしている。
8月中旬から約1カ月あまり、ベンチスタートとなった内田の経験は今後どのような影響を彼に及ぼすのか? そして新監督は内田をどう起用するのか? 新監督の就任が予想されるリーグブレイクの間、代表でチームを離れることが不利にならなければいいのだが。