中国浙江省温州の高速鉄道事故で高速鉄道の安全が社会問題化しているが、浙江でもうひとつの「鉄」「道」問題が浮上した。銭江晩報が伝えた。

 2013年7月開通を目指して建設中の杭長高速鉄道(杭州―長沙間)の江藻―王家井区間が、隣接する杭金衢高速道路と最も近いところではわずか5.8メートルしか離れていないため、重大な潜在的な危険性があると指摘され、新たな「鉄」「道」問題として注目を集めている。

 道路安全保護条例では、高速道路と、隣接する建築物との距離を道路の外側から30メートル以上と定めている。また鉄道運輸安全保護条例の第10条では鉄道線路は非居住区域にあっては高架橋の外側から最低15メートルを安全保護区として緩衝地帯を設けることを定めている。

 紹興市高速道路管理大隊では2010年11月以来、5回にわたって杭長鉄道建設の事業主である滬昆鉄路客専浙江有限責任公司に違法行為の停止通知を送っているが、一向に回答がない。違法工事は既に9カ月にわたって続いており、24の橋脚の内10は完成済みだ。

 道路と線路には高低差がほとんどなく、万一、高速道路上でトラック事故などが起きた場合に線路上に落下する危険性や、時速300キロの列車と100キロの車がすれ違う際の風圧の影響なども大いに懸念されている。間に立てば大人が吹き飛ばされるほどだという。(編集担当:中岡秀雄)