深川栄洋監督

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 映画『神様のカルテ』でメガホンを取った深川栄洋監督が、本作で主演を務めた櫻井翔の髪形は、石坂浩二の金田一耕助役がモチーフになっていることを明かした。今年に入ってから、映画『白夜行』、『洋菓子店コアンドル』と監督作の公開が続く深川監督は、若手俳優の新たな一面を引き出すことを得意としている。『神様のカルテ』で櫻井が演じている一止(いちと)は、内科医としては優秀だが、夏目漱石を愛し、言葉遣いも古風で、ちょっぴり変わり者という設定。そんなキャラクターを作り上げるにあたり、深川監督は、櫻井のルックスを変えることから始めたことを明かした。

 今回櫻井を主演に抜てきするにあたり、最初にひらめいたのは、櫻井と石坂の共通項だったという深川監督。「頭の回転がいいし、キレ者の印象や、清潔感がある。石坂さんの金田一耕助役は、本当は鋭いんだけど、柔らかく、ちょっとヌケた部分もある。第一印象ではすごくできる人に見えない『神様のカルテ』の栗原一止と、イメージをダブらせては? と思いつきました」と櫻井と石坂、一止と金田一の共通点を浮き彫りにする。

 「皆さんが知っている櫻井くんって、キラキラ輝くスターですよね。だから一止へのきっかけとして、まず髪形をダサく変えることにしました」と語る深川監督は、実際に櫻井と美容院にカツラを持って出向いたという。その理由について、「一番は、彼と役柄をじっくり話したかったんですよ。櫻井くんはご存じのとおり多忙なので、じゃあ僕が嵐の世界に行こうと。そして完成したのが、あのボサボサなヘアなんですが、髪形を役への一つの暗示にしたかったのです。僕が演出していない場所でも、この髪形でいることで、櫻井くんが自然と一止を思い出してくれればいいと思いました。髪形と衣装による暗示は見事に効いたようです(笑)」と満足そうに明かしてくれた。

 「若い俳優さんで困るのは、自分にやりたい芝居があること。僕の指示と平行線をたどる場合もよくあります」と明かした深川監督。しかし、櫻井とは、相性も抜群だったようで、撮影を通じて、お互いの個人的なことまで語り合える仲になったそう。「一止は、櫻井くんと僕の2人で作り上げたキャラクター。櫻井くんの“嵐じゃない一面”を引き出せた」と語る深川監督からは、満足そうな笑みがこぼれていた。深川監督が、最後に「一止がどう歩んで来て、どこへ向かうのか、その決断を描く物語です。決断に至る経過をちりばめていきました。その一つ一つを観客の皆さんに受け止めてもらいたい」と思いを語った映画『神様のカルテ』。本作では、これまでのイメージを変える櫻井翔の名演技に注目だ。(取材・文:斉藤博昭)

映画『神様のカルテ』は8月27日全国公開

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