(C)Vertigo Slate 2010

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 今年の夏は、全国でも節電ムード。クーラーのきいた心地よい部屋にこもるより、ちょっと背筋の凍る思いを映画館で体験して暑い夏を吹き飛ばしてみるのもいいかもしれない。そこで、今回は“恐怖”と“悪夢”の映画を2本まとめて紹介しよう。

■モンスターズ/地球外生命体
まず1作品めは、クェンティン・タランティーノ&ピーター・ジャクソンが“ファン”だと公言までしている“怪獣映画”『モンスターズ/地球外生命体』。NASAは、太陽系に“地球外生命体”の存在を確認し、探査機がサンプルを採取する。しかし、メキシコでの墜落事故により積み込まれた地球外生命体のサンプルが拡散してしまう。その直後から未知のエイリアンが誕生し、増殖していくエイリアンに襲撃されていたメキシコの半分が隔離されていた。それにも関らず、怖いもの見たさにエイリアンを見物する闇ツアーが発足して、参加していた社長令嬢のサマンサが怪我をしてしまった。彼女を救う命令を受けたカメラマン、コールダーの行方は…。

ストーリー展開は、おおよそ予想できるものの、このモンスター・パニック・ムービーの最も注目すべき点は、総製作費がなんと130万円の超低予算であるところだ。カンヌ国際映画祭で上映された途端、世界中で話題騒然となり、監督を務めたギャレス・エドワーズは、イギリスのエンパイア誌から「2010年に映画界でブレイクした新星10人」に選ばれた。さらには、ハリウッド版の新しい『ゴジラ』の監督に大抜擢され、今後の活動に注目が集まる監督の劇場デビュー作品なのだ。


■トライアングル
2作品めは、『0:34 レイジ34フン』で地下鉄の駅、『サヴァイヴ 殺戮の森』では森の中と閉塞した空間で起こるスリリングな展開を描くのが得意とするクリストファー・スミス監督の最新作である豪華客船を舞台に描くシチュエーションスリラー。友人に誘われ、ヨットセーリングに行ったジェスが、ヨットもろとも大海原へ投げ出されてしまう。なんとか命が助かった5人の前には、突然大型客船が現れ、船内を探索。すると突然、覆面をした人物が自分達を襲い、命を奪っていく…。無人の豪華客船に現れた、謎の殺人鬼。しかし、覆面の下に隠されていたのは、自分の顔だった――。

自分が自分を殺し続ける悪夢としかいえない状況から抜け出せるのか? 「異次元世界を現実に体験する」というコンセプトから非常に複雑でありながら緻密な脚本を書き上げ、開始15分後には、全く予想だにできない驚愕の展開で最後の最後まで息をもつかせないストーリーとなっている。


 超低予算でありながらも話題を集めている『モンスターズ/地球外生命体』や、殺人鬼である自分から逃れられたのか結末も気になる『トライアングル』を鑑賞すれば、常にハラハラ&ヒヤヒヤしっぱなしで暑い夏を涼しく過ごせるかもしれない。