あなたが本を出す理由【わたしが本を出した理由】第6話
聡美は、自費出版の興奮冷めやらぬ二人にインタビューさながらに聞いてみた。
「たけしは自費出版に踏み切ったのは、何が決め手だった?」
タケシはためらいなく言い放つ。
「やはり“著作者保護制度”ですね。昔、一度断念した時も経済的な不安が一番大きかったですから。聞くところによると、自費出版をあきらめる人の多くの理由がお金の問題なんですって。でも、僕はこう思います。お金を理由に挙げる陰には、別の問題もあるんじゃないかって。
僕も当時の不安を突き詰めて考えていったら、そもそもお金の事情に隠れていた出版社に対する不信感や不安感が山のようにあったんです。確かに誰にとっても簡単に支払える金額ではないけれど、僕は夢が実現するっていう強い安心感があったから、なんとか頑張って貯めることができたと思います」
【コラム】『著作者保護制度』について
株式会社 文芸社が自費出版を志す著者のために独自に開発した制度で、大手都市銀行との契約により、著者の金銭的権利を保護するためのものです。著者の大切な出版委託金や印税を、出版社の資産とは分別した形で第三者が管理(信託財産化)することで、出版社の事業上の都合や経営状況等の影響を受けることなく、安全に保護される仕組みです。
出版業界では初となる画期的な試みとなっています。
・著作者保護制度(文芸社ビジュアルアート)
株式会社 文芸社が自費出版を志す著者のために独自に開発した制度で、大手都市銀行との契約により、著者の金銭的権利を保護するためのものです。著者の大切な出版委託金や印税を、出版社の資産とは分別した形で第三者が管理(信託財産化)することで、出版社の事業上の都合や経営状況等の影響を受けることなく、安全に保護される仕組みです。
出版業界では初となる画期的な試みとなっています。
・著作者保護制度(文芸社ビジュアルアート)
念願の出版が叶って夢見心地のあおい
「あおいが自費出版を決めた一番のポイントは?」
あおいもキリッとした表情で答える。
「編集者です!
最初は、聡美先輩の担当の方がいいなぁ、なんて勝手に思っていたんですが、結局、私との相性はバッチリだったみたいで、励まされたり、時には厳しく指摘されたりしながら、自分でも不思議なぐらい良い作品に仕上げてもらったという感じ。編集者って裏方とか黒子とか言いますけど、私にとってはこの本のもう一人の作者なんじゃないか、ってぐらいの気持ちで感謝しています」
聡美も強く共感して付け加える。
「そうね。一般の人は、プロの編集者と接する機会はあまりないだろうから、編集ってわかりづらい仕事かもしれないわね。でも、本を一冊作ってみて、本当にその力は大きいって実感したわね。
特に、自費出版に立ち向かう人は、ほとんどがアマチュアなわけよね。大物作家を相手にしている出版社の編集者とは違って、業界知識や当たり前のことなんかをいちいち説明しなくてはいけないから、大変よね〜って思うわ。それに、挫けるポイントも人それぞれだし、本業じゃないゆえの甘さとか…、私が編集者だったら、それこそ逃げ出したくなるようなことって、たくさんあると思うのよね(苦笑)」
リベンジ達成に酔うタケシ
「だからこそ、“自費出版”という素人の夢のためにとことん付き合っていける、志しの高い編集者がいる出版社が貴重なんですね〜」
「編集者の層の厚さも重要ね。
私の編集担当とタケシの編集担当とあおいの編集担当、それぞれ違うタイプの方だものね。著者や作品に合わせて、担当する編集者が変わるのも、多くの自費出版を手掛けた実績とノウハウがあるからこそのやり方なはずよね。
出版社や書店にとっては無数の星の一つであっても、作者にとっては、大事な大事な一点モノだからね。その一点の輝きを大事にしてくれる編集者と出会える、というのは、出版社選びの一番のポイントかもしれないわね」
聡美、タケシ、あおいは、自費出版に踏み切ったことで、新たな展望が開けてきたようです。
それは、出版自体の達成感や爽快感だけでなく、価値観・人生観を変えてしまうものまで、人の数、本の数だけ、様々なカタチがあるようです。
さて、芸術の秋も後半戦。ふとした想いやつぶやきでも、書き留めるには絶好の季節ではないでしょうか?そして、それがいつか、「あなたにしか書けない一冊」になるかもしれません。文芸社ビジュアルアートは、書きたいあなたを応援します。
(【わたしが本を出した理由】最終回「あなたが本を出す理由」 完)
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