今夏の移籍マーケットでも、大物選手の移籍報道が連日報じられているプレミアリーグ。夏の大物選手獲りが恒例となっていたチェルシーが静かな動きを見せる中、昨シーズンの覇者マンチェスター・ユナイテッドは、イングランド代表MFオーウェン・ハーグリーブスに加え、ポルトガルリーグからアンデルソンとナニの若手MFコンビを獲得。さらに、リバプールはアトレティコ・マドリーから、スペイン代表FWフェルナンド・トーレスを獲得している。

 一方、昨シーズンを4位で終えたアーセナルは、チームの大黒柱であったFWティエリ・アンリをバルセロナに放出。エースの抜けたFW陣には、クロアチア代表のエドゥアルド・ダ・シルバを獲得したが、チームの精神的支柱でもあったアンリの穴は未だ埋められたとは言えない。

 この状況には、選手たちも苛立ちを感じている様子。「チームの補強に不満を感じている」と語ったのは、DFウィリアム・ガラスだ。このフランス代表DFは自身のホームページで、アーセン・ベンゲル監督への直談判を試みるつもりであることを明かしている。

「数人の選手がクラブの将来に疑問を感じているのは事実だ。アーセナル以外のチームは、みんな補強を進めている。しかし、アーセナルはどうだ? ティエリ・アンリの穴埋めに何かプランがあるのだろうか? とにかく、アーセン・ベンゲル監督や首脳陣とクラブの目標について話し合うつもりだ」

 ダ・シルバに加え、次なるターゲットとしてアヤックスのライアン・バベル獲得に動きを見せていたアーセナル。しかし、このオランダ代表FWの獲得には、ライバルのリバプールが一歩リードしているとの報道もあり、アーセナルの補強はいまだ不透明。この状況に不満を露にするガラスは、自らの去就もちらつかせながら、ビッグネームの獲得を訴えている。

「僕は毎年3位になるためにアーセナルに来たわけじゃない。とにかく、ビッグネームの獲得が必要なんだ。確かに、才能豊かな若手を獲得することも重要だよ。でも、プレミアのシーズンは長いんだ。若手は勝利に貪欲だけど、アーセナルには結果が必要なんだ。タイトルを獲らなくちゃならないんだよ。それができないなら、ポリシーを変えるしかない。ほかのチームと同様に、実力のある選手を獲得すべきだ。僕だって今はまだアーセナルの選手だけど、明日になればどうなるかわからないよ」

 アンリの離脱と、一向に進まない戦力補強。さらに、来シーズン限りでの退団も噂されるベンゲル監督の去就と、所属選手の疑心暗鬼が高まる中で噴出した、ガラスの直談判宣言。近く行われると見られる監督との会談で、決定的な意見の相違がみられるようであれば、アーセナルがさらに主力を失う可能性も無視できない状況になりそうだ。