チェルシーの最高経営責任者を務めるピーター・ケニオンは、今オフに積極的な補強を進めるマンチェスター・ユナイテッドについて、「恐れる必要はない」と語った。

 すでに、オーウェン・ハーグリーブス、アンデルソン、ナニの獲得に5000万ポンド(約120億円)を費やしているマンU。さらに、ウェストハムのFWカルロス・テベスの獲得も間近で、その移籍金は2000万ポンド(約49億円)にも上ると言われている。

 一方、プレミア王者の座をマンUに譲ったチェルシーは、今夏の移籍マーケットで慎重な動きを見せている。毎夏恒例となっていたスター選手獲りには動かず、MFスティーブ・シドウェル、FWクラウディオ・ピサロ、DFタル・ベン・ハイム、DFアレックスと、新戦力はすべて移籍金なしでの獲得だけ。残るターゲットも、現在交渉中のフランス代表MFフロラン・マルダ(リヨン)だけと、いつになく静かなシーズンオフを過ごしている。

 移籍マーケットにおける動きに明暗が分かれるマンUとチェルシーだが、ケニオンは現有戦力の選手層に大きな自信を見せている。

「ユナイテッドの戦力補強は驚きを誘っているようだね。その金額もすごいし、補強に動いた時期も早かった。しかし、我々には関係ないことだ。彼らがいくら大金を使おうが、我々が心配することではない。ジョゼ(・モウリーニョ監督)とは火曜日に話したが、彼は今のメンバーに満足している。戦力補強はジョゼの希望を第一に動いているし、今年に関しては、大金を支払ってまで新戦力を獲得するメリットはないと考えている。もちろん、戦力アップに繋がる選手がいれば、資金の捻出はやぶさかではない」

 さらにケニオンは、先日スペイン代表FWフェルナンド・トーレスを獲得したリバプールや、ティエリ・アンリの穴埋めとしてクロアチア代表FWエドゥアルド・ダ・シルバの加入を発表したアーセナルなど、積極的な補強を進めるライバルについても、「脅威にはならない」との見方を示した。

「来シーズンも2強の争いが続くだろう。プレミアリーグのタイトルを争うのは、チェルシーとユナイテッドになるはずだ。リバプールは巨額を投じて戦力を整備しており、手ごわい相手ではある。アーセナルやスパーズも補強に余念がない。それでも、やはり我々のライバルはユナイテッドだけだ」

 現有戦力のポテンシャルに絶対の自信を見せるケニオン。チェルシーが見せる補強方針の転換は、吉と出るか凶と出るか。すべては、プレシーズンにおける現有戦力の熟成が鍵を握りそうだ。