「この選手はまだ若い。だが才能を秘め、超一流選手になれる可能性を持っている」
 カナダで開催中のU20ワールドカップを個人視察していたミランのアンチェロッティ監督が、同ブラジル代表のFWパト(インテルナシオナル所属)を高く評価し、ミラン首脳陣は早速獲得工作に着手した。

 まだ17歳のパトだが180cm、73kgと体格は十分。すでにチェルシーとインテルが獲得を狙っている。だが、完成した選手を好むミランは時期尚早と判断、この若い才能の成長を待つ構えだった。しかしFW補強策が遅々として進まない上、バルセロナのエトーもロナウジーニョも獲得が困難な状況もあって、指揮官直々のお墨付きはパト獲得を大きく後押しすることになった。

 FIFAルールでは18歳以下の選手の国際移籍を禁じている。しかしルールの例外事項はあり、「サッカー以外での理由による家族の住所変更」を伴うものであれば移籍止むなし、とされている。つまり、ミランがパトの父親にミラノでの職と家を用意すれば何の問題もないに等しい。ミランにそこまでして「欲しい」と思わせる恐るべき才能。アンチェロッティは宝石の原石を見つけた気分なのだろう。


弓削高志