新型FK“エレベーター”を打つと明言したピルロ<br>(Photo by Kiminori SAWADA)

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 現在欧州サッカー界でFK名手3人を挙げろと言われたら、ロナウジーニョ(バルセロナ)、ジュニーニョ(リヨン)と並んでピルロ(ミラン)の名前を挙げる者は少なくない。23日付の伊紙「ガゼッタ・デッロ・スポルト」紙上でリバプールとの決戦を前にこの稀代の天才キッカーが抱負を語っている。

「練習で決勝用のボールを試してみた。感触がちがうんだ。これまでの試合で使われていたものより少し軽い」

 不安はないのか。

「どう動くかは、もう覚えた」

 昨季、ピルロはFKの新技を開発した。伸び上がったかと思うと、恐るべき角度でゴール目がけて急降下する様から“エレベーター”と名づけた。試合が膠着状態に陥った場合、セットプレーが勝敗を分ける場面もあるはずだ。ピルロにプレッシャーはないのか。

「(リバプールの)ベニテス監督が僕をマークすべき選手だと見なしてくれたことは嬉しいね。もしマンマークにつかれるようだったら、マンチェスターU戦でやったように動きまくってスペースを作るだけさ。
 直接FKのチャンスがきたらGKレイナとの勝負になるけど、今こそ“エレベーター”を撃つときだと思う。今夜勝って、2年前のイスタンブールの悪夢を打ち消す」

 時はきた。2年前の忘れ物を獲り戻しに、いざピッチへ。リバプールとのCL決勝戦、試合開始のホイッスルまであと数時間。目くるめくようなスペクタクルが私たちを待っている。


弓削高志