「うきうきして眠れない」は間違い、では正しくは?…知らないでいると恥をかく気持ちを表すことばリスト
※本稿は、ひきたよしあき『「自分の気持ち」を表すことば図鑑』(大和出版)の一部を再編集したものです。
■同じ「うれしいこと」を表す言葉だけど…
「うきうき」と「わくわく」の違い
「うきうき」も「わくわく」も、うれしくて仕方がない様子を表します。よく使うことばだけど、どんなちがいがあるんだろう?
まずは、自分がどんなときに使うか考えてみて! ヒントは、それが「今起きてうれしいことか」「未来に起きるうれしいことか」のちがいだよ。
「うきうき」は、今起きている出来事ごとに対して使うことが多いことばです。水にうかぶうきわのように、心がふわふわとうかんだり、はずんだりするたのしい気持ちを表します。
遠足している今、たのしくてしょうがないとき、「たのしくて、うきうきしています!」なんて使います。
「うきうき気分」最高だけど、うかれすぎないように気をつけてね。
わくわくは、水が「湧く」からきたことばと言われています。うれしさやよろこびが次々にわいてきて、落着いていられない様子です。「わくわく」は、主に未来に対して期待しているときに使うことば。これから起きることが待ち遠しくて仕方ないときに、「わくわく」をよく使かいます。
「お正月の駅前は、うきうきした気分の人であふれていた。」
「上原さんからメールがきたので、うきうきしている。」
「明日は、推しのコンサート。わくわくしてねむれない。」
「出張中のお父さんから『「おみやげを買って帰るよ』と連絡があったので、家族全員わくわくしている。」

■「かなしい」の使い分け
「悲しい」と「哀しい」のちがい
どちらも「かなしい」と読みます。心が痛んだり、さびしい気持ちのときに使います。
一般的には「悲しい」という漢字を使いますが、美しいものがなくなるなど、心の中にじんわり広がる気持ちを詩や文学のように表現するときには、「哀しい」と書きます。
くわしく見ていきましょう。
悲しいは、「失敗」や「大切な人との別れ」のように、悲しくなる原因がはっきりしていることが多いです。
原因がわかっているので、泣いたり、落ちこんだりと、感情の動きもわかりやすいのが特徴です。
悲しいは一般的に使われる「常用漢字」なので、悲しい哀しいかで迷ったら、「悲しい」と書きましょう。
哀しいは、「桜が散って哀しい」「あのころを思い出すと哀しくなる」などと、ものがなしさ、はかなさ、しみじみとした感情を表します。
原因は、あまりはっきりしていません。「なんだか哀しい」「思い出でにひたりたい」ような気分のときに使います。
ふだんの会話よりも、詩や文学に出てくることばです。使えるようになるとかっこいいよね。
「愛犬が死んでしまい、とても悲しい。食事がのどを通らないほど落ちこんでいる。」
「災害のニュースを見て被災者の気持ちを考えたら、悲しくて涙が出てきた。」
「しばらく見なかった祖母の姿が小さくなっていて、哀しい気持ちになった。」
「夕焼けはきれいだけれど、ちょっぴり哀しい気分にさせられる。」
■かなしい感情を表すことば
「さびしい」と「切ない」の違い
日本人は、かなしい感情をさまざまなことばで表現します。「さびしい」と「切ない」は、どちらもかなしくて、胸がしめつけられる思いのこと。「さびしい」は、何かが欠けているようで心が満たされない気持ちを表します。「切ない」は、思い出などで胸がキュッとしめつけられるようなふくざつな気持ちのちがいです。
「さびしい」は、どこかもの足たりないかんじ。ひとりぼっちになって、心にぽっかりと穴があくような気持ちです。
いつも遊んでいた友だちがいなくなった。部屋がしーんとしている。なんだか心細い……。そんな気持ちが「さびしい」です。
さびしいを「さみしい」と書く人がいます。まちがいではありませんが、一般的には「さびしい」と書きます。
「切ない」は、かなしさ、恋しさ、くやしさ、つらさなどがふくざつに混ざり、胸がキュッとなるような気持ち。
その思いをどう晴らしていいかわからないような状態です。
大好きな人を失ったとき、さびしいだけでなく、なつかしさや恋しさといった気持ちもこみ上げてきますよね。
その気持ちが、「切ない」です。
「ひとりで夕ごはんを食べるのは、さびしい。」
「だれもいない教室は、静まり返っていてさびしい。」
「毎日練習していた運動会がおわって、ほっとした気持ちと同時に切なさがこみ上げてきた。」
「好きな人が他の子とたのしそうに話しているのを見て、切ない気持ちでいっぱいになった。」

■体の部分を使って「いかり」を表す
「腹が立つ」と「頭にくる」のちがい
日本語には「のどから手が出る(ほしい)」「目が覚める(気づく)」など体の部分を使って表現することばが多くあります。
「腹が立つ」と「頭にくる」も、そんなことばのひとつ。「腹」と「頭」では、いかりの意味合いがちがいます。そのちがいを、自分の体で感じてくださいね。
「腹落ちする」「腹が黒い」「腹を決める」など、日本人は気持ちを表すことばに「腹」をよく使います。
腹は、体の深いところ。受け入れようと努力したけれど、やっぱり許すことができない。そんな体の深くから、強いいかりがふつふつとわき上がってくる状態を「腹が立たつ」と言います。
「立腹」ということばもいっしょに覚えてください。
「頭」は体の一番上にありますね。
頭に血が上がって、いかりが頂点に達っした状態です。だから、「頭にきた! もうガマンできない!」ということばが出てくる。感情をおさえることができないほど、強いいかりです。
「腹が立つ」はゆっくりと高まるいかりですが、こちらは速い。聞いた瞬間に、いかりで顔が赤くなるかんじです。
頭にくる前に、冷静になろうね。
「あの子のものの言い方には、さすがに腹が立った。」
「手をぬいた試合をするサッカーチームに、腹が立って仕方ない。」
「大切な日に限って電車がおくれているなんて、頭にくる。」
「3日もかけてつくった工作を、弟にこわされて頭にきた。」
■くだけたことばと正式な場面のことば
「おどろく」と「びっくりする」のちがい
とつぜんのこと、予想外なことが起きると、おどろいたり、びっくりしたりします。どちらも同じような意味のことばです。
でも、「おどろく」は、学校の作文や発表会など正式な場面で使えます。それにくらべて、「びっくりする」は、くだけた表現なので、ふだんの会話で使うことが多いのちがいです。

「おどろく」は、とつぜんの出来事ごとや意外なことがあって、心が動くこと。
うれしい気持ち、かなしい気持ち、こわい気持ちなど、心がはげしく動いたときに出てくることばです。
「おどろく」は、ふだんの会話でも、人前で発表したり、作文を書くなど、少し改まった場所でも使える便利なことばです。すてきなおどろきがある毎日って、いいよね。
「びっくりする」は、おどろくにくらべて、仲のいい友だちとの間などで使うことば。少し子どもっぽいかんじがします。そのぶん、「おどろく」にくらべて、パッと短かい時間で心が強くゆさぶられた様子が伝わります。急にうしろから声をかけられて、「びっくりしたぁ!」と声が出るかんじ。心臓がドキドキしちゃうよね。日常会話でどんどん使おう!
「わたしたちの演奏会に、たくさんの人が集まってくれて、みんなおどろいています。」
「犬のぽん太はカミナリにおどろいて、部屋の角ににげこんだ。」
「とつぜん、道路にねこが飛び出してきて、びっくりした。」
「あさの新宿駅の人の多さには、びっくりしました。」

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ひきたよしあき(ひきたよしあき)
SmileWords代表/博報堂フェロー
学生時代よりNHK「おもしろクイズゼミナール」のクイズ制作に携わる。博報堂入社後、クリエイティブディレクターとしてCM制作等に従事。大物政治家を含む各界のエグゼクティブのスピーチ原稿を執筆。大阪芸術大学、明治大学、慶応MCCなどでコミュニケーションについて教え、そのわかりやすい講義に、学生や社会人から多くの支持を集める。『質問力って、実は仕事を有利に進める、最強のスキルなんです』(大和出版)など、著書18冊、累計128万部。相手を引き込む、笑顔にするコミュニケーションの重要さを、さまざまな世代へと伝えている。
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(SmileWords代表/博報堂フェロー ひきたよしあき)
