日興首脳「組織ぐるみ」認め辞任
![25日、日興コーディアルグループ本社で謝罪する有村社長(右)と金子会長(撮影:吉川忠行)](https://image.news.livedoor.com/newsimage/d/5/dbeb254411869b70c2-m.jpg)
有村社長と金子会長は25日午後、東京都中央区の同本社で開いた記者会見で陳謝。有村社長は「証券会社のトップとして、経営責任を果たさざるを得ないと判断した。グループ全体を正常な機能に戻すことが重要だ」と辞任の理由を説明し、株主や市場の信頼回復を最優先したと述べた。
日興は今後、弁護士など外部の専門家で構成する特別調査委員会を設け、利益水増しの意図があったかどうかも含め調査を進め、原因究明と再発防止に取り組む方針。また、問題の会計処理を適正と認めていた旧中央青山監査法人(現みすず監査法人)については、「訂正の監査証明をお願いし、議論を進めている」(有村社長)と述べるにとどめた。
同問題を巡っては、証券取引等監視委員会が18日、◆05年3月期の有価証券報告書で実質的な支配にある孫会社を連結から外した◆子会社が所有していた孫会社発行の社債について虚偽の記載をした――として課徴金5億円の納付命令を出すよう金融庁に勧告を行っていた。これを受けて日興は、有価証券報告書などの訂正を発表。平野博文取締役の辞任や、有村社長、金子会長の減給処分を発表していた。
有村社長は、日興コーディアル証券社長も退任し、後任には同証券副社長の北林幹生氏(53)が昇格する。
2時間にわたった会見で、記者席からは経営責任や企業のあり方を問う厳しい質問が有村社長に相次いだ。有村社長は、時折笑顔を交えながら質問に答えていたが、事態の大きさの割には緊張感がないと指摘されると、表情が急変。金子会長が「顔では笑っているが心では泣いている。眉間にしわ寄せて真剣にやってるじゃないか」と釈明した。有村社長は悔しさとも怒りともとれない表情で報道陣にも聞こえるような大きなため息をつき、握りしめたこぶしを机に叩きつける場面もあった。【了】