俺もいるぞ!と奮起を期待したいJリーガー3人。パリ五輪世代のタレント、4年半ぶり帰還の心臓…日本代表復帰を果たせるか
1人目は細谷真大(柏レイソル)だ。パリ五輪世代のエースでもあった23歳は、2023年11月に、サウジアラビアのジッダで行われたアジア2次予選のシリア戦でA代表初ゴールを記録した。しばしば欧州移籍の話題も取り沙汰されるなかで、新たにリカルド・ロドリゲス監督が就任した柏に残り、現在は垣田裕暉や木下康介との激しいポジション争いに身を投じながら、新しいスタイルの習得に全力を注いでいる。
開幕2試合は3ー4ー2ー1の1トップとしてスタメン起用されたが、その後は垣田がスタメンに定着。3ー1ー4ー2を使用した第4節の浦和レッズ戦と第5節の鹿島アントラーズ戦でも、リカルド監督は垣田と木下に2トップを託し、細谷はベンチスタートだった。
再び3ー4ー2ー1に戻した前節のサンフレッチェ広島戦でもスタメンは垣田だったが、後半の失点でリードを許すと、リカルド監督は細谷を投入して、垣田との2トップに。すると86分に、相手のミスを突いた鋭いカウンターで細谷らしいスプリントを見せて、木下のクロスに右足で合わせた。優勝候補の広島を相手にした値千金のゴールであり、細谷のキャリアにとっても大きなゴールだろう。
現在の代表メンバーであり、柏からフランス1部のスタッド・ドゥ・ランスに移籍した関根大輝は、現在も細谷とよく連絡を取っているという。過去にリカルド監督の指導を受けた垣田や木下との競争は引き続き厳しいものになるが、パリ五輪世代のエースが、ここを乗り越えた先には代表復帰やさらなる飛躍も見てくるはずだ。
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その細谷と同じく、パリ五輪を経験した期待のタレントの1人が荒木遼太郎(鹿島アントラーズ)だ。これまでA代表は2022年1月の親善試合、ウズベキスタン戦に選ばれただけで、その試合もコロナ禍で相手チームが入国できずに中止となってしまった。しかし、昨年は期限付き移籍したFC東京でエース級の存在となり、大岩剛監督の評価を一気に高める。そしてパリ五輪の最終予選を兼ねたU-23アジアカップの活躍も認められる形で、本大会の最終メンバーに食い込んだ。
主力の地位を掴んだFC東京で続けるか、あるいは海外挑戦という選択もあったかもしれないが、荒木は川崎フロンターレを4度のリーグ優勝に導いた鬼木達新監督のもと、鹿島で主力を勝ち取りに行くことを決断した。一昨年より走力も力強さも増した荒木にとって、満を持してのチャレンジだったはずだが、4ー4ー2の右サイドハーフで起用された湘南ベルマーレとの開幕戦は攻撃面で持ち味を発揮できないばかりか、対面する畑大雅に再三チャンスを与えてしまった。
1点のビハインドを負った鬼木監督は荒木に代えて、右サイドバックを本職とする濃野公人を投入した。湘南戦は0−1のまま敗れたが、第2節の東京ヴェルディ戦で鬼木監督は濃野を本来の右サイドバックに、そして開幕戦で右サイドバックだった新加入の小池龍太を右サイドハーフに配置する新プランを打ち出すと、これが見事にハマる形で昨季6位のヴェルディを相手に4−0の大勝を飾る。
そこから4連勝を果たした鹿島で、荒木は1−1で引き分けた前節の浦和レッズ戦まで5試合、ベンチ入りはするものの、一度も出場チャンスが無かった。
現在、荒木が使われていない大きな理由として考えられることが、鬼木監督が川崎でやってきたようなポゼッションをベースとした戦い方が構築できておらず、レオ・セアラのパワフルなフィニッシュを活かす、シンプルなトランジションをベースとした戦い方にシフトしたことだ。
もちろん、最終ラインからボランチの柴崎岳や樋口雄太を経由するビルドアップが全くないわけではないが、現在のスタイルだとテクニカルなチャンスクリエイターの荒木より、縦に仕掛けられる松村優太やオフザボールで効果的な働きができる小池の方が、サイドハーフの役割をこなしやすい。
前節の浦和戦は終始、相手のプレスと推進力に押される流れでリードを許し、勝負のカードとして荒木の投入も期待されたが、浦和陣内での支配的な攻撃が難しい状況で、鬼木監督が選択したのはよりサイドアタッカー色の強い師岡柊生だった。荒木自身が頑張っても、現在の戦い方の中で完璧にフィットすることは簡単ではない。ただ、鬼木監督もこのままで良いと考えているはずがなく、ビルドアップの質を高めながら攻撃にバリエーションを加えていくために、荒木は間違いなく有効なカードになってくる。
どんなスタイルでも活躍できる選手というのは理想的で、荒木が代表や海外での活躍を目ざすのであれば、今は乗り越えるべき壁に向き合っている部分もあるかもしれない。一方で鬼木監督が本来やりたいスタイルに寄るほど、荒木の持ち味をそのまま発揮しやすい環境が整うことも確かで、ここからどうなっていくか、鹿島の動向とともに気になるところだ。
3人目は橋本拳人(FC東京)だ。2019年にJリーグのベスト11に選ばれた橋本は同年3月に、守田英正の負傷により、追加招集という形で初めてA代表に選ばれた。そして親善試合のボリビア戦でスタメン起用されて1−0の勝利に貢献した。
そこからカタールW杯の2次予選で常にメンバー入りするなど、順調にステップを踏んでいたが、ロシアのウクライナ侵攻によりロストフとの契約を停止して、ヴィッセル神戸に移籍する形で2022年の3月に、Jリーグに復帰した。
神戸は2022年当時、三浦淳寛監督のもとで開幕から苦しい戦いを強いられていた。結局、橋本はリーグ戦9試合に出場しただけでスペイン2部のウエスカに移籍したが、スタメンで出た7試合は3勝2分2敗とまずまずの結果で、その後、吉田孝行監督とともにリーグ2連覇を果たす神戸にとっても、この期間の橋本の働きは重要トピックの1つと言える。
橋本は神戸での活躍が高く評価される形で、国内組だけで挑んだ2022年のE-1選手権のメンバーに選ばれて、中国戦と韓国戦の2試合に出場した。しかし、スペインに渡ってからの代表招集は一度もなく、特にスペイン2クラブ目となったエイバルでは出番も減少したなかで、古巣からの継続的なラブコールに応える形で、松橋力蔵監督が就任したFC東京へ4年半ぶりの復帰を決断した。
FC東京復帰にあたり、欧州挑戦の先にはW杯出場という大きな目標があったことを明かした橋本だが、現在は育ったクラブで新たな自分を見せて、チームの躍進を支えたい思いが強いようだ。
ただ、開幕からここまでチームが順調に行っているとは言い難く、高宇洋とボランチのコンビを組む橋本も、中盤から高い位置でのボール奪取や展開力、武器である飛び出しでチャンスに絡むシーンよりも、ゴール前でセンターバックとともに身体を張って失点を防ぐシーンの方が目立っている。
しかし、2勝1分3敗で12位とスタートダッシュに成功できなかったFC東京が、ここから真に上位争いをしていけるチームに進化し、タイトルを掴むにはチームの心臓である31歳は不可欠で、同時にリーダーシップでも大きな働きが求められる。
現時点のパフォーマンスでは7月のE-1選手権でのメンバー入りも難しいと考えられるが、まずはルヴァンカップの奈良クラブ戦を経て、代表ウィーク明けの多摩川クラシコで、スーパーボランチとして獅子奮迅の活躍ができれば注目も高まっていくはずだ。
文●河治良幸
