「風都探偵」細谷佳正&内山昂輝、ビギンズナイト編の魅力は鳴海荘吉 劇場版で向き合う仮面ライダーWはじまりの物語
平成仮面ライダーシリーズ第11作「仮面ライダーW(ダブル)」の正統続編として、2017年から「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館刊)で連載中の漫画「風都探偵」。2022年にシリーズアニメ化を果たし、「W」15周年となる2024年、初の劇場版アニメ『劇場版「風都探偵 仮面ライダースカルの肖像」』が誕生した。同作で主人公・左翔太郎役を務めた細谷佳正]と、相棒・フィリップ役の内山昂輝がインタビューに応じ、仮面ライダーW誕生の真実が明かされる本作の魅力について語った。
劇場版の物語は、実写映画『仮面ライダー×仮面ライダー W(ダブル)&ディケイドMOVIE大戦2010』でも描かれた「ビギンズナイト」だ。翔太郎の師匠である探偵・鳴海荘吉/仮面ライダースカル(声:津田健次郎)がキーパーソンとなり、仮面ライダーWの誕生の一夜を描いた人気エピソードとして、ファンからの支持も高い。
劇場アニメ化の話を聞いた細谷は、「鳴海荘吉役を津田健次郎さんが担当されると聞いて、とてもラッキーな作品になったと思いました。津田さんが参加することで、よりたくさんの人に劇場版を観てもらえると思うし、それによって、テレビアニメ2期も制作されてほしいと思いました(笑)」と津田の参加を歓迎。
脚本を読んだ率直な感想については、「原作がドラマなこともあって、書かれている台詞もそれを踏まえたものになっていたのが、やりやすかったです。説明台詞的なものは現在の翔太郎のモノローグで進行していったのもやりやすい理由になったと思います」と続けた。
内山は「もともとは新規でアニメ作品が制作されると伺っていて、劇場アニメになることはだんだんと明かされていきました。ただ、描かれる物語としても『劇場で観たくなるよね!』という内容だったので、劇場版にピッタリな作品になりそうだと思っていました」と劇場版に期待を膨らませていた。
「ビギンズナイト」は翔太郎&フィリップが出会うきっかけをはじめ、さまざま真実が語られる物語だ。二人が思う「ビギンズナイト」の魅力とはどんなところにあるのだろうか?
細谷は「『ビギンズナイト』編の魅力は鳴海荘吉と津田健次郎さんだと思います。カッコいい大人の男と言えば…!なところがあるし、ビギンズナイトの主役と言えば鳴海荘吉だと思うので」と語る。
内山は「いろいろな秘密が明かされていくところ」に注目。「『風都探偵』の漫画&アニメから入られている方や、『仮面ライダーW』のテレビシリーズから愛してくださっている方もいますし、さまざまな驚きがあると思っています。『仮面ライダーW』から追いかけている人は『そうだよね!』となるし、『風都探偵』から入った人なら驚く部分も多い。いろいろな感想が浮かんでくるストーリーです」と魅力を明かした。
翔太郎&フィリップのバディとして、すでにシリーズアニメで関係を築き上げている二人。劇場版では翔太郎&フィリップの初対面が描かれるが、演じるにあたって心がけたことはあったのだろうか?
「劇中のフィリップはあまり感情を表に出さず、淡々とした雰囲気で居るので、翔太郎は台本に書かれている感情的になっている台詞を、自分としては結構オーバーというか、大きめにぶつけていくことをしました。個人的に、若い頃の翔太郎は『王道的なアニメの主人公』だったと感じていて、それは翔太郎の感情的な台詞を個人的にはオーバーに大きくしたことで、そんな雰囲気を感じたし、それを楽しめたからだと思います」(細谷)
「翔太郎とフィリップの関係性は、シリーズアニメと比べると全く違うもの。会話シーンも、フィリップが最初こんなにも冷たく翔太郎に対して接していたんだということを知ったので、そこは新鮮でした。でも、フィリップの歴史を踏まえれば、「それもそうだよね」という流れだったので、キャラクターが辿ってきた歴史を整理して考えて、劇場版のフィリップをどう表現していくかというところを意識して演じました」(内山)
細谷と内山は、2020年のゲーム「KAMEN RIDER memory of heroez」から数えると、4年近く翔太郎&フィリップの声を担当している。
細谷は「ゲームで翔太郎役が決まった時は、批判の方がきっと多いだろう、という気持ちでいたので反響や評価を自分で調べたり、エゴサみたいなことは一切しませんでした(笑)」と、当時を振り返る。
「そこで『キャラクター像が確立した』とは全く思ってなくて、それはあくまでもゲームのキャラクターとしての音声だし、ゲーム中には左翔太郎の顔が映ることがないのもそう思った理由だと思います」
「アニメ「風都探偵」で翔太郎を演じさせて頂けることになって、「ここから、翔太郎として認識されるだろう」と考えていました」
「アニメはキャラクターの絵があるし、その絵に台詞をつけていくので、ドラマとは全く別の印象になります。原作は原作、アニメはアニメ、と言った意識に視聴者の皆さんにはなってもらえるだろうと思ったので、その時はエゴサしたと思います(笑)。どんな作品でも色々あるのが常ですけど、好意的にみてくださっている方が多くて嬉しかったです」
ゲーム・シリーズアニメ・劇場版とキャラクターと向き合ってきた二人にとって、翔太郎&フィリップの魅力はどんなところにあるのか。
細谷は「翔太郎の魅力は、純粋で真っ直ぐなところです。それが他人を惹きつけているし、フィリップみたいな天才的な雰囲気はないけど、情とか優しさとか、心の温かさとか…何だろう? 今の時代からすると一見役立ちそうにない、能力とは言えないものかも知れないけど、それをずっと持っているところが僕は好きですね」と語る。
内山は「フィリップは、表面的にはクールでミステリアスなところが魅力的です。また、何か一つ興味のあるものを見つけた時、好奇心全開で沸き上がる気持ちを抑えられなくなっている姿も、普段とのギャップが垣間見えて、魅力につながっていると思います」とキャラクターを分析。フィリップの物語を掘り下げるほど、新たな魅力が発見できるといい、「キャラクターとしての引き出しがぎゅっと詰まった人物」と表現していた。
実写ドラマからはじまり、漫画、シリーズアニメ、舞台とメディアの垣根を越えて拡大する「仮面ライダーW」「風都探偵」の世界観。細谷と内山は、今やその世界観に欠かせない唯一無二の存在となった。翔太郎とフィリップが、なぜ仮面ライダーWとなったのか。劇場版で描かれる真の「ビギンズナイト」に注目だ。(取材・文:編集部・倉本拓弥)
劇場版『風都探偵 仮面ライダースカルの肖像』は期間限定上映中