業者たちが目撃した“タワマン地獄”の現実 配達員「もうコリゴリ」元救急看護師「助けられる確率が10%低くなる」
配送や引っ越し、救急など、さまざまな業者たちがタワーマンションに悲鳴をあげている。
タワーマンションの宅配問題を解消すべく、配達員に代わってマンションの部屋まで食品を届けてくれる、デリバリーロボットへの期待が高まっている。フードデリバリー歴4年のぐるぐるさんは、「配達員にとっては“タワマン地獄”だ。一般的なマンションやアパートと比べて神経を使い、時間もかかる」と嘆く。
ある時、50階以上のタワマンに配達すると、受付などに手こずり、20分で配達できるはずが、倍の40分以上かかってしまった。「お客さんは嫌な顔。怒っているのかな」と感じたそうだ。さらにマンションを出る時にも迷い、配達1件に1時間以上かかってしまう。それで得たのは500〜600円。ぐるぐるさんは「もうコリゴリだ」と語る。
日鉄興和不動産による大手物流事業者へのヒアリング調査によると、約50階・1000戸のタワーマンションへの配送では、総所要時間が約4時間15分かかったという。宅配だけでなく、引っ越し業務などを行う「便利屋TRY」の中野雄太代表も、「めちゃくちゃ時間がかかる。引っ越しまでの段取りが長い」と困っている。
トラックの停車位置決めから、養生、そして搬出まで、「朝から行っても1日作業がかかる」として、「タワマンは入るのも出るのも、引っ越し料金は高い。倍と言っていい」と苦労を明かす。また最も厄介なのが、他の引っ越し業者とのバッティングだ。「いい業者同士なら、荷物用のエレベーターを譲り合えるが、うまくいかなかったら待ちになり地獄を見る」と語った。
救急にも影響がある。救急看護の現場を長年経験した秋吉崇博氏は、「エレベーターまでが難しいところも多い。部屋に到達するまでに3つほどインターホンを鳴らす。上がりきるまでに早くても10分かかる」と実情を語る。「心肺停止になると、脳に酸素がいかなくなり、1分ごとに助かる確率が下がる。命が助かっても後遺症が残る。時間が左右し、高層であるほど助けられる確率が低くなる」と説明した。
元衆議院議員の宮崎謙介氏は、タワマンの45階に住んだ経験があるという。「1階の駐車場に行き、うっかり鍵を忘れたら、もう一回上がってロスが15分ぐらい。便利なところもあるが、不便だと思うことが多かった」と振り返った。
(『ABEMA的ニュースショー』より)