5万人クルスク進撃に合わせ朝ロ条約批准…韓半島に最も危険な「69日間の賭け」始まった(1)
ロシアに派兵された北朝鮮兵がウクライナ軍に占領されたクルスク地域で本格的な交戦に入る兆候がとらえられる中で、北朝鮮とロシアが両国関係を軍事同盟水準に引き上げる内容の条約を批准した。両国は米国の政権交代の過程で生じたリーダーシップ空白期を最大限に活用しウクライナの戦場でそれぞれ短期的な目標を達成するために暴走するだろうという観測が出ている。
◇法的根拠用意した朝ロ、戦後まで狙ったか
労働新聞は12日、「6月19日に平壌(ピョンヤン)で締結された『朝鮮民主主義人民共和国とロシア連邦間の包括的戦略パートナーシップに関する条約』(朝ロ条約)が金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の政令で批准された」と報道した。続けて「国家元首は11日、政令に署名した」と伝えたが、国家元首とは金委員長を示したものと推定される。
これに先立ちロシアのプーチン大統領は9日に条約に署名した。この条約の前文には「この条約は批准書が交換された日から無期限の効力を持つ」と明示されている。クルスク戦闘が迫っているだけに実務ラインで速やかに批准書交換がなされる可能性が大きいという見方が出ている理由だ。
これと関連し韓国統一部当局者は、「朝ロ相互間の批准書交換を通じて条約が発効してから条約とロシアへの派兵を公式に関連させる可能性を見守っている」と話した。北朝鮮軍派兵の名分として事実上の自動軍事介入条項を復活させた朝ロ条約を前面に出すかもしれないという話だ。
条約第4条は「双方のうち、一方が個別的な国家、または複数の国家から武力侵攻を受けて戦争状態に瀕する場合、他方は国連憲章第51条と朝鮮民主主義人民共和国とロシア連邦の法に準じて遅滞なく自国が保有している全ての手段で軍事的およびその他の援助を提供する」として相互軍事支援を明示している。
ウクライナのゼレンスキー大統領が11日に自身のSNSを通じ「ウクライナ軍がロシア本土クルスク地域で約5万人の敵軍と対峙中」と明らかにしたのもこうした分析を裏付けている。本格的な交戦に先立ち条約を発効させ派兵の法的根拠を設けようとするのが本心ということだ。
◇トランプ氏の帰還控えさらに速くなる朝ロ
朝ロ両国がウクライナの戦場で積極的で攻勢的な動きを見せる背景には米国の政権交代がある。トランプ氏が新政権の外交安全保障基調を大きく揺さぶると予想される中でこうした転換期を積極的に活用しているという話だ。
専門家らは朝ロのこうした暴走が当分続くだろうという見方を出している。韓国統一研究院のオ・ギョンソプ研究委員は「朝ロが第2次トランプ政権が正式に発足する来年1月20日までの『69日間の賭け』に出た様相。双方ともトランプ氏との対座に先立ち自分たちに有利な立場を獲得するために没頭するだろう」と話した。