何気ない発言がピンチを招く?「仕込み」「ワンチャン」…人によって受け取り方が違う言葉に要注意
「誤解を招く言葉遣い」で窮地に立たされることがある。
『ガイアの夜明け』(テレビ東京系)の密着取材を受けていた、スポットワークアプリ「タイミー」の広報部長が番組告知で「IPO前から仕込んできました『ガイアの夜明け』が今晩放送です!スポットワークの可能性についてぜひご覧ください!」と『ガイア』の取材を「仕込んできた」と投稿。これが瞬く間に大炎上した。
その後、代表取締役の小川嶺氏は自身のSNSで「弊社メンバーから不適切な表現があったことにより、番組制作において事実と異なる憶測を生む結果となってしまい、大変申し訳ございません」と謝罪した。
仕込みとは「しつけ」「商品などを仕入れること」「下ごしらえ」などの意味があり、映像・舞台の世界ではあらかじめ「準備しておく」という場合にも使われる。
今回の投稿では「IPO(新規株式公開)に合わせ取材させていた」とも受け取れるため、「仕込み?ドキュメンタリーで仕込みはないだろ!」「IPO前に取り上げてもらうよう仕込んだってこと?」「シンプルにやらせ?」といったネットの声が飛び交う結果に。
広告業界に詳しい元『週刊SPA!』副編集長の田辺健二氏は「広告業界では『進める』『実行する』ということを『仕込む』と言ったりするので、広報部長もそのノリで『仕込む』を使ったのだと思われるが、一般的には誤解を生む表現」と説明した。
「誤解を生んだ」事例はほかにもある。10月31日に大阪地裁は、大麻取締法違反で起訴された22歳の男性に無罪を言い渡した。
男性は電子タバコに液体大麻を入れていたとして逮捕、起訴されたが「違法ではない成分という認識だった」と無罪を主張。職務質問を受けパトカーに乗せられた男性は、警察官から違法性の認識を追及された際「ワンチャンあるかも」と述べたという。
この言葉が罪を認めたと受けとられたが、実はこの「ワンチャン」にはいろいろな意味がある。ワンチャンは「可能性」を指すだけでなく「もしかしたら」と否定的な文脈でも使用される若者用語だ。
今回の判決で裁判官は「『ワンチャン〜』は若者を中心に使われる言葉で『もしかしたら』という心境を表わす。その可能性や程度については話の流れやシチュエーションによって変わる」として、最終的にパトカー内という状況で感覚的に出た言葉にすぎないと判断。
「違法薬物との認識があるとは言えない」との結論で無罪判決になり、ワンチャンは若者にとっては「合いの手」「口ぐせ」のひとつとの認識を示した。
(『ABEMA的ニュースショー』より)