【アナコラム】長谷川太「『箱根駅伝』と『放送』のつながり」
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▼11月8日配信号 担当
長谷川太アナウンサー
「スポーツ」を題材にした小説は数限りなくあるが、
小説である以上そこには必ず「フィクション」の要素が入り込む。
そこに共感できるかどうかが作品を好きになれるかの境目だが、
「箱根駅伝」を中継という形で携わる私にとって、
これほど共感要素の多い小説はない。
「箱根駅伝」には「学生連合チーム」というものがある。
箱根に出場できなかった大学から選出されたメンバーでチームをつくる、
いわば「寄せ集め」チームだ。
この小説はこの「寄せ集めチーム」を主人公に、
レースを中継する架空のテレビ局の奮闘を軸に展開する。
箱根駅伝には210人もの学生ランナーが出場する。
選手にはそれぞれ背景とそこにはドラマがあり、それを丁寧に取材という形で救い上げ
中継というものを作り上げていく。
箱根路を走るのは大学名ではない。一人の血の通った人間であり学生であることを、
自分も中継を担当する立場として忘れてはいけないなとこの小説を読むと改めて思う。
中継するテレビ局が、沿道のマンションの屋上にカメラを設置するのだが、
マンションの住人の反対でこれができなくなってしまうエピソードがある。
それをどうクリアするのか、ここが私的にはお気に入り。
文化放送もこの中継のため、多くの沿道の方々に協力をしていただいている。
毎年この方々にご挨拶と協力のお願いをして回るのが以前は私の仕事だった。
小説の中では、ほんの短いエピソードだが、ここ涙なくしては読めない。
今年も「箱根駅伝」の季節が近づいてきた。
この小説読んで、文化放送の中継をぜひ聞いてください。
「箱根駅伝」と「放送」のつながりをより深く感じていただけると思います。