ガザ南部ラファで避難民に配られる国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の支援物資(3月7日)=ロイター

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 【エルサレム=作田総輝】イスラエル国会は28日、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の国内での活動を禁じる法案を賛成92、反対10の賛成多数で可決した。

 90日以内に施行される。UNRWAは、戦闘が続くパレスチナ自治区ガザで人道支援を行っている。支援にはイスラエル側との調整が欠かせず、活動禁止でガザの人道危機がさらに深まる恐れがある。

 イスラエルは、昨年10月のイスラム主義組織ハマスによる越境攻撃にUNRWAの職員が関わっていたとして解体を求めていた。ベンヤミン・ネタニヤフ首相は「テロ活動に関与した職員は責任を負わなければならない」とX(旧ツイッター)に投稿し、活動禁止の正当性を強調した。

 UNRWAが陸路でガザに物資を搬入する際には、隣接するイスラエル当局との調整が必要となる。イスラエルでUNRWAの活動が禁じられると事実上、物資支援が困難になる。イスラエル当局とUNRWA職員の接触も禁じられた。

 UNRWAのフィリップ・ラザリーニ事務局長は「法案はガザの人々の苦しみを深めるだけだ」とXで非難した。