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最大素数の更新は6年ぶり。

これまでの最大の素数は282,589,933-1だったのですが、この度元NVIDIA(エヌビディア)の社員で、現在は研究者であるルーク・デュラントさんが、新たな最大素数「2136,279,841-1」を発見。しかも。前の記録より1600万桁以上も大きい数でした。

素数とは?

素数って何?というところから一旦復習していきましょう。

素数は1とその数自身以外に約数を持たない正の整数のことです。もっと簡単に言うと、1とその数自身以外では割り切れない数のことです。

例えば2は1と2でしか割れないですよね。3、5、7、11、13、17、19、23もですね。そしてもっともっとそれが大きい数字になったのが、今回発見された2136,279,841-1です。

新発見された素数はちょっと長すぎるので、「M136279841」と略されています。この数は2を136,279,841回かけ合わせ、そこから1を引いて計算されています。これはメルセンヌ素数(1600年代初頭に修道士のマラン・メルセンヌによって研究された2nー1の形の自然数)としては52番目だということです。

スパコンを駆使

ルークさんは、巨大素数の発見を目的とするプロジェクト「Great Internet Mersenne Prime Search(GIMPS)」に貢献している研究者で、以前はNVIDIAに勤めていました。

GIMPSは1996年に最初のメルセンヌ素数(通算35番目)を発見しており、この調査プロジェクトではこれまで18個のメルセンヌ素数を発見していて、無料のプログラムを使用して誰でも素数を探すことができるようになっています。

ルークさんは17カ国に分散する数千のGPUで構成されるスーパーコンピューターを使用してこの数を発見。この功績により、ルークさんはGIMPSから3,000ドル(約45万円)の報酬を受け取ることになるそうです。

今回発見された素数は、フェルマーの確率的素数判定を使用して識別され、その後リュカ・レーマー素数判定テストによって厳密に確認されました。GIMPSチームはこう述べています。

「確率的素数判定テストを使用して発見された最初のGIMPSの素数であり、公式の発見日を確率的素数判定テストを実行した日にするか、リュカ・レーマー素数判定テストを実行した日にするかについて議論が起きましたが、私たちはリュカ・レーマーテストの日付を選択しました」

何に役立つの?

ものすごい発見だってことは、数学がまったくわからなくてもなんとなく伝わってきますが、この発見で何がどう変わっていくのでしょうか?

その疑問に対して、GIMPSチームは「現時点では、大きなメルセンヌ素数の実用的な用途はほとんどありません」とのこと。しかし、「数十年前も同じような疑問が存在していましたが、その後素数に基づいた重要な暗号化アルゴリズムが開発されました」とも付け加えています。

実用的な用途はないとはいえども、もちろん発見する喜びや、素数という数学やコンピュータの基礎研究にはもちろん意味がありますし、GPUのネットワークであるクラウドスーパーコンピューターの能力を証明するという意味もありますよね。

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